【グラブル】ガチャ課金と詫び石の功罪


アンチラガチャの件でお正月からゲーム業界を騒がしまくっているグランブルーファンタジー(以下グラブル)ですが、一連の騒ぎに対し、1/8に運営からゲーム内のお知らせにて説明がありました。

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(前略)
2015/12/31(木)以降、お客様より下記自行についてお問い合わせをいただいております。
引き続きお問い合わせをいただいていることから、ゲーム内お知らせにて回答いたします。

お客様に大変ご不安の念を抱かせてしまっておりますこと、先ずお詫び申し上げます。

1.レジェンドガチャにおける出現率アップについて
キャンペーンとして行っておりますレジェンドガチャの各種出現率アップの値は、それぞれの武器ならびに召喚石ごとに上昇しています。
そして、出現率アップと表記されている装備はその他の装備と比べ、出現率が必ず高く設定しております。

2.ベアトリクスのサポートアビリティ欄における文言修正について
リリース当時、サポートアビリティに「強化効果」と表記しておりましたがアビリティ欄は「効果」と表記しており、齟齬があったため文言表記の統一を図り「効果」に修正いたしました。
当初から実際の効果に変更はございません。

お客様には混乱を招きご不快な思いをさせてしまいましたこと、重ねて深くお詫び申し上げます。

「グランブルーファンタジー」の運営にあたり、引き続き関係法令および各プラットフォームのガイドラインを遵守してまいります。

アンチラ排出率は、システムおよび運営上の問題はなかったという説明に加え、ベアトリクスの表記については間違えていたわけではなく、ミスではなく単なる表記上の齟齬だったという話になっています。

お詫びはしていますが、運営や管理の問題に対してではなく、あくまでユーザー感情に対して謝っているだけという、ある意味究極の大人の対応とも言えるお知らせです。

前者は実際にシステムの検証を第三者に調査してもらう以外に結論がつかない部分があるので置いておくとして、後者は完全に優良誤認じゃないのかなぁ…という気がします。
乱暴な言い方をすれば、グラブル運営としては「ユーザーはアビリティではなく絵でガチャをするか決めている」と決めてかかっているのかなぁと思えてしまう説明です。

たしかにグラブルの魅力は皆葉英夫氏の描くキャラの数々が大きなウェイトを占めていると思いますが、課金するユーザーは当然ながらより快適で俺TUEEEEEEE!できる環境を求めてガチャを回します。
グラブルについては「下半身に従え」という名言がありますが、どのユーザーも下半身に従ってサプチケ買ったりガチャをしているわけはないのです。キャラや召喚石の持つステータスやアビリティもガチャをするかどうか判断する判断材料になるのは当然と言えましょう。
なんとなく不誠実に思えてしまうのは、「お前達エロいキャラほしいだけだろう?」と思われているだけに見えてしまうからかもしれません。

グラブルに限らず多くのソーシャルゲームに同様の事が言えることですが、この手の問題が起きた時、運営側が場当たり的な対応に徹し、お詫びといえないようなお詫びをしてやり過ごそうとします。

そのようなやり方が許されているのは、ソーシャルゲームに運営とユーザーが共同利益を享受する関係が生まれているからです。

ゲーム機などの売り切りのゲームの場合、金銭の授受が終了した時点でユーザーとメーカーの関係はほぼ完結します。ゲームの評価が売上げやその後の作品の売れ行きに影響を与えることはありますが、1商品を軸にした両者の関係はそこでいったん終了するわけです。

しかし、ソーシャルゲームの場合、そのゲームを続ける限りにおいてはユーザーと運営の関係は継続し続けます。ユーザーがそのゲームで遊ぶには、運営を続けてもらわないといけないのです。
そのため、ゲームを続けて遊びたいと思う限り、大きな問題が発生したとしても、どこかに落としどころを作って妥協せざるを得ません。

課金をすればするほど共犯関係は深まり、おいそれと引退宣言を出すわけにもいかない状況に追い込まれていくわけで、そうなったら理不尽と思いながらも運営側の回答に渋々従わざるを得なかったわけです。

そんなユーザーの内面的な不満を覆したのが、パズドラで導入された詫び石です。

詫び石の導入により「トラブルが発生するとガチャを回すトークンが増える」というパラダイムシフトが発生し、本来ユーザーの不利益でしかなかったトラブルが、逆にユーザーメリットとなるという現象を引き起こしました。
この詫び石をはじめ、「課金しなくても全ての激レアが手に入る」「毎日アクセスするだけでガチャ資源となるトークンがもらえる」など、これまでの課金を強いてきたソーシャルゲームの負の面を解消したパズドラは空前のヒットを記録し、そのユーザーフレンドリーな運営方法は他のソシャゲにも影響を与えました。

今ではすっかり運営の「お詫び」として定着した詫び石ですが、当初の詫び石はサーバーのトラブルや実装ミスなどのゲームのシステム上の問題が発生した際、ユーザーに対して行われるものでした。
しかし「詫び石」という手段が普及していた結果、「詫び石くれれば許す」「詫び石出しておけば許される」というユーザーと運営者それぞれに無言のコンセンサスが成立してしまいました。

詫び石は確かにユーザーメリットではありますが、プレイする方としては当然詫び石案件なんて起きないに越したことはなく、なにより堅実で安定した運営をしてくれることがマストと言えます。
それでも運営側に予期しないトラブル(サーバートラブルや機器の故障やヒューマンエラー)が起きるのはある意味仕方がないことなので、その際には詫び石を配るというのが運営側の配慮とされてきたわけです。

しかし、詫び石の普及により運営側に「詫び石出しておけば許される」という一種の甘えが生まれたとも言えます。

名前は出しませんが、ゲームリリース後に壮大なトラブルを引き起こし、さらにはモンスターからのドロップ率、ガチャの排出率、サービスリリース一週間以内なのに課金アイテムを多数揃えてないと参加もできないエクストラクエストの導入など、最初からあらゆるゲーム環境の保全とバランスを放棄した状態でリリースされたという大作MMOの看板背負ったわりにダメな方向へアグレッシブなゲームがありました。

このゲームも当然のようにリリース直後から詫び石連発していましたが(名目はリリース記念となっていましたが)、βテストや開発期間の延長が何度も繰り返されたわりにお粗末な状態でのリリースとなったのは、クオリティコントロールや開発・運営側の人的・資金的リソースの不足に加え、上記のように「詫び石出しておけば許される」という運営側の甘えのせいでしょう。


 

ゲームの問題が単なるゲーム性の問題や機器の問題だけならまだマシな方です。
今回のグラブルの件のように課金・ガチャがらみの問題となると、金銭の授受というフェイズが入るため、本来なら詫び石出しておしまいという話で済まない状況が生まれてきます。

冒頭のサイゲームスからの詫び状にも書いてありますが、金銭のからむ取引があった場合、関連法令の遵守と違法性という問題が発生します。

ガチャがたびたび問題にされる理由は、ガチャが必ずしも支払った金額にみあったユーザー体験を与えないためです。

さらに、課金を煽るかのようなガチャページのキャンペーン画像やテキストもそれらの問題に拍車をかけます。結果として、優良誤認と疑われる画像や説明文が使われ、それを信じたユーザーが期待を裏切られ、排出率やキャンペーン内容に疑いを持ち、今回のような検証が行われ消費者庁案件に発展しそうになったりするわけです。

やまもといちろう氏は、4gamer内の記事において、ソーシャルゲーム市場が拡大したにも関わらず、これらガチャに対するガイドラインがまったく作成されていない事が問題であると指摘しています(関連記事)。
アイドルマスターシンデレラガールズのコンプガチャが問題となり、最終的に規制されるきっかけを作ったサーゲームスの親会社、サイバーエージェントの藤田社長は、2012年のインタビューで「他のサービスも行っているので、うちも行わざるを得なかった」という主旨の発言を行っていました(関連記事

藤田社長は当時も「(コンプガチャの高利益が)僕もヘンだと思っていた」と言っていたわけですが、結局その「ヘン」という感覚は3年の間にうやむやとなってしまったのでしょう。結局規制がなされないまま利益を追い求めて走りつづけ、結果としてコンプガチャ規制前夜のような空気が再度ソシャゲ界隈に生まれることになってしまいました。

ちなみに藤田社長の発言を取り上げていますが、サイバーエージェントならびにサイゲームスだけが悪いという話ではありません。
業界全体として受け止めなければならないことを、大手であるサイゲームスも含めソーシャルゲームデベロッパーが、環境改善に動かなかった事が問題だという話です。

ガチャについては、以前コンプガチャが問題になった際、それぞれの排出率を記載するようにガイドラインが定められました。

例えばグラブルの場合は、こうなっています。

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一番上位のSSRについては、3%の確率で排出されます。
この確率は1回のガチャにおける確率です。10連ガチャの場合、1枠は必ずSR以上となるので、若干計算が変わるかと思いますが、おそらくSSRの確率については3%のままでしょう。

ここで勘違いしてはいけないのは、SSRが出る確率が3%ということであって、お目当てのキャラが出る確率が3%というわけではないということです。

ざっくりとした割り算になりますが、仮にSSRに相当するアイテムが100個あったとすれば、3%の抽選に当たった上でさらに1/100の確率でそのキャラが出るということになります。なので、この場合お目当てのキャラが出るのは0.03%程度となります。

ただし、グラブルには○○出現率アップというガチャとなっており、その場合は属性や種族、キャラや召喚石のいずれかが排出されやすい状態になっているそうです。ただし、それがどの程度当たりやすいか、確率は開示されておりません。

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例えば現在(2016/1/10)はエルーン解放武器出現率アップというレジェンドガチャが行われていますが、「出現率up↑」とあるだけで、具体的に何%したのかは書かれていません。

しかも、このガチャはSSRの出現率そのものは変わっていないので、SSRのエルーン解放武器が欲しいと思ったとして、仮に倍だとしても0.06%、10倍としても0.3%の確率でしか手に入りません。

そんな不確かな情報しかない状態でガチャに課金する方は、運営側が提示したキャンペーン内容や、数字すら示されていない確率アップという言葉を信じるしかありません。これはコンセンサスではなく信頼や信用の問題です。

実際、魅力的なキャラクターをトップに出しておきながら、「そのキャラは何%の確率で出るの?」の問いには返答ができないというのは恐ろしく不誠実な話です。その不誠実をユーザーとの共犯関係と詫び石でごまかしごまかし運営してきたツケがここに来て一気に噴きだしたのでしょう。

グラブルはTVCMを打つほどメジャーなタイトルであったからこそ、ここまでの騒ぎになりましたが、似たような問題はどのソーシャルゲームでも発生しているでしょう。単純にユーザーの母数や運営会社の知名度やヘイトで騒ぎが大きくなるかならないかというだけの話です。

「詫び石」によってソーシャルゲームの暗黒面をカバーするのは、そろそろ限界なのかもしれません。

(文/赤蟹)


 


赤蟹

スベスベマンジュウガニ並みに猛毒を吐きまくる赤い蟹の人。「てらどらいぶ」の裏ボス。サイト管理とコーディング、デザインなどを担当。文章を短くできないのが悩み。

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