スカパー!アダルト放送大賞2016を観覧してきた。


3/3(木)に都内某所で開催された「スカパー!アダルト放送大賞2016」
業界を離れて2年ほどご無沙汰で、実は今回も行くつもりはまったくなかったのだが、友人がチケットをもらったとのことで、初めて「完全」な一般人として観覧してきた。

もっとも、業界人時代もいつも観客席で見ていたので(業界席はアリーナで遠くてよく見えないので)、感覚的にはそう変わらない。ただし、仕事ではないので「写真を撮らなくてはいけない」「受賞式の内容をメモらないといけない」という義務感がなく、気楽に楽しむことができたのは大きかった。同時に、ステージと観客席を部外者として「観察」する余裕もできた。

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今回の受賞式の様子は、様々なメディアでレポートが書かれるはずだ。特に特別賞で協賛したメディア各社に詳報が載るので、式の内容についてはそちらをご覧いただきたい。

「てらどらいぶ」では、今回の受賞式について、私が1ユーザーとして感じたこと、考えたことを忌憚書いていこうと思う。
業界から離れてから初めて見る「スカパー!アダルト放送大賞」。中立の立場で、消費者の側に立つことで、内側にいた時には考えられなかったものが見えてきた。
(以下、敬称略)

 

■初美沙希の四賞受賞

企画女優時代からの積み重ねがようやく実った初美沙希。作品賞、オンデマンド賞、メディア賞、そして女優賞とノミネートされたアワード全てで受賞という快挙を遂げた。
特にスカパー!オンデマンドアダルト賞という、スカパー!オンデマンドアダルトで最も放送された実績のある作品に与えられる賞の受賞は大きい。

他の賞はWeb投票の結果であり、特に1人で多数投票できるという性格から、SNSでのアクティビティと組織票同士のぶつかり合いになってしまい、結果として「声が大きかった」人たちが勝つという仕組みとなっていた。
もちろん、それはそれで人気のバロメーターであり、ユーザーの声援が数字に反映されるという意味で大切なものだ。しかしセクシービデオもコンテンツビジネスである以上、最重要視されるべきは売上げであり視聴率だ。
女優の人気は容姿ばかりでなく、コンテンツ内での演技、役どころ、プレイといった要素が密接に結びついてくる。その総合力が結果として売上げにつながり、ひいては女優の人気になる。
そのような意味で、初美沙希の「新人・初美沙希デビュー」がスカパ-!オンデマンドアダルト賞を受賞した時点で、女優賞は確実だと思ったのである。

ともかく、今年の初美沙希は強かった。
しかし、彼女が四賞も受賞してしまった結果は、少々不安に感じるところもある。

単体系メーカーの販売力が落ち、メーカー問わずビデオに出演する企画(単体)女優に人気が集中する状況となって久しい。
専属女優だけでは厳しくなった単体系メーカーも人気企画女優を使うようになった結果、「女優力」で競い合う時代から、人気のキカタン女優を使う事を前提とした「企画力」で勝負する時代へと移行した。

「コンテンツ」という見地から言えば正統な進化だ。しかし今回の受賞のように、人気のある女優に様々なものが集中してしまう現状は、ちょっと危うい。
ノミネートされた女優と「のみ」いう選択の狭さの結果とも言えるだろうが、今回のスカパー!アダルト放送大賞のノミネート女優はどの子も一線級の実力と人気をもつ子ばかりだ。多少ノミネート女優が変わったり増えたところで、初美沙希の「優位」は大きく違わなかっただろう。

企画単体女優の人気は「安定感」にある。
企画単体女優人気は、言い換えればユーザーははずれがない、企画がつまらなかったとしても、好きな女優でカバーできるであろうコンテンツを選ぶようになったためだ。

セクシービデオ・動画の消費シェアが年々縮小していく中、メーカーは手堅く人気のある女優を使い、ユーザーは手堅い人気女優の出演作を求めるようになった(本来は、ここに素人ものも入ってくるが、話が複雑になるので割愛)。これは放送や、スカパ-!オンデマンドアダルトを含むVODの世界でも同様だ。売れる作品を仕入れるのは商売の鉄則だから。

そんな中、メーカーを問わず出演し、かつ固定ファンを持っている企画「単体」女優は、メーカーにとってもキャスティングしやすい存在だ。単体女優と違い、デビュー以降長い期間活動を続ける企画単体女優は、活動期間に比例したファンと実績を持つ。単体女優がメーカーのマーケティングを受け、立ち上がりに強いのに対し、企画単体女優はデビューこそひっそりとしたものだが、だからこそ個人の努力と持続力がモノを言う。タメればタメるほど、企画単体女優は強くなる。いわば大器晩成型だ。

おととしから今年にかけては、そのタメきった企画単体女優の活躍がめざましかったわけだが、去年5月には大人気女優の有村千佳が、続いて10月には上原亜衣という「キカタン」二大巨星が立て続けに引退を表明した。

そんな企画単体女優の中でも絶大な人気を誇っていた有村千佳、上原亜衣が抜けた以上、彼女たちに匹敵する存在であった初美沙希が穴を埋めたような感じがある。もちろん、棚ぼたと言いたいわけではない。順当な結果だったと言いたいのだ。
特に去年、作品賞を取りながらも、惜しくも女優賞を逃した彼女は、また1年きっちりとタメを作り、今回の「勝負」に挑んだ。そんな彼女に、引退した両者のファンも合流し、彼女の勝利を盛り立てたのだろう。
Web投票の状況を見れば、三者のTwitterフォロワーは重複していたようでもあるし、票の流入は少なからずあったと推察される。Web投票がカギを握るアワードだからこその傾向と言えるよう。
他の女優にどれだけ熱心なファンがいようが揺るがない、人気を極める「キカタン帝国」がそこにはあったわけだ。

言うまでもないが、私は初美沙希の四冠を否定しているわけではない。
彼女が独占してしまう現状をユーザーとして憂うだけである。彼女の努力、投票期間中の熱心な呼びかけが実を結んだ受賞であることは疑いようがないのだが、しかしこの独占状態はやはり気がかりだ。
企画のバラエティが広がる中で、人気頼りのキャスティングを続けた結果、出演女優の枠が狭まっていく反比例な現象は、実は拡大ではなく安パイを握り続けた結果ではないか、とも思えるのである。

 

■なぜ「エロメン」が流行語大賞に選ばれたのか

流行語大賞の発表の時、私の周囲は少々静まりかえった。
男性中心の観客の中で、あれだけ中尾彬が「くぱぁ」をいじったにも関わらず、予想外の「エロメン」受賞に戸惑ってしまったのだろう。

これについては、特に想定外ということはない。
スカパーのセクシービデオ視聴者は女性も多い。日中視聴者は男性よりも女性が多いとスカパー!の担当者からも聞いたことがあり、そこでは熟女のコンテンツ、人気の男優作品が視聴されているそうだ。
昨年は男優賞があり、しみけんが受賞したが、今年は代わりに流行語大賞となった。となれば、男優に行くべき女性ユーザーのモチベーションがエロメンに向かうのは自明の理であろう。

しかし、エロメンなんかに興味がない男性観客は少々冷ややか。私の周囲に座っていた業界関係者らしき人達からは「シルクの仕込みじゃないか」「完全な宣伝だろう」という声さえ聞こえた。

流行語大賞が純粋なWeb投票の結果ではないこと、また受賞後に放映されたシルクラボのエロメンビデオメッセージがその印象を強くしてしまったに違いない。また、ビデオ内で公演の告知をしたのも、少し場違いだったかもしれない。

しかし、「てらどらいぶ」で何度も取り上げているように、現在のセクシービデオ業界は女性の消費も踏まえざるをえない状況だ。男だけに売って成り立つ市場ではないのだ。
実際、今回の受賞式には、業界とはまったく関係ない一般の女性ユーザーの姿もちらほら見られた。彼女たちがそのような台詞を聞いたらどう思うだろうか?

ただ、シルクラボにも問題はある。ビデオメッセージを作るということは、事前から受賞が伝えられていたはずだ。ならなぜ、エロメンたちをステージにあげなかったのか。なぜビデオメッセージで済ましてしまおうと思ったのか。
もろもろの事情はあっただろうが、正直「やり方がヘタ」だと感じた。当人達が登壇すれば、「シルクの仕込みかよ」みたいな意見は少なくとも言えないだろうし、会場にまで駆けつけた熱心なAV淑女への最大の「おもてなし」となったはずだ。
そのツメの甘さだけが、いつまでも気になった。

それとは別に、ワードチョイスがちょっと古いように思えたのだが…あえて言うまい(言ってる)。

 

■ルールを守らない一般席の業界人たち

冒頭でも述べたが、私はこれまでスカパー!アダルト放送大賞を取材をする中、一般席での撮影、取材を行ってきた。
半分は私自身のわがままで、近くで式を見たいという希望。もう半分は会場の熱気をユーザーに伝えたいという気持ちと、業界者席は2Fアリーナのため、私の手持ちレンズでは写真が撮れないという仕事上の理由だ。

なので、式典中のルールは一般ユーザーに合わせて取材を行っていた。写真はフォトセッション中しか撮影しなかったし、ケータイも式典中は電源をオフにしていた。メモがあるときはペンでノートに書いていたし、SNSでの実況もやらなかった。投稿が許されるタイミングで投稿はしていたが、基本的には式典中はケータイを消していた。

それは、業界人として当然のことだと私は考える。自分たちの周囲には、誰よりもセクシーコンテンツ業界を「お金」という実利で支えているファンたちがおり、式典のアナウンスに従い、スマホの閲覧や撮影を我慢している。そんな中で、少なくとも「もてなす」側の業界人が易々とルールを破ってはダメだろう。

しかし、今回のイベントではおそらく業界関係者であろう人達が、式典中に平気で写真を撮影したり、スマホを見たりとヒドいものであった。式開始時にフォトセッション時以外の写真撮影の禁止、スマホのターンオフのアナウンスが流れていたにも関わらず、身内である業界関係者がルールを守らないのだ。

周囲が写真撮影しているのだから、当然一般来場者も写真を撮る。好きな女優が目の前にいるのに、そんな状態なら撮らない方が「損」だ。結局ルールは守られず、なし崩し的に式終盤には撮影OKとなってしまった。

ケータイもそうだ。会場席の照明が落とされる中、発光する物体があるのが迷惑だ。
実際、私の視界にもいくつものスマホ画面が入り込んでおり、まぶしくてステージが見づらいこともあった。私は一般人とはいえ「元」関係者なので我慢したが、私が見えたということは周囲の一般ユーザーにも見えているということである。この事実をもう少し厳重に受け止めるべきだ。

取材だから、業界関係者だから。言いたい気持ちは分かる。「仕事」を理由にするのも正当な主張だ。今時撮影フリーが当たり前だし、フォトセッションが短すぎるという主張も分からないでもない。しかし、ルールとして最初に告知されている以上、守るのは大人として当然だろう。
許可を取っているのかもしれないが、それは当人だけに分かることだ。周囲の人間にプレスカードでも見せない限りは一般観客と変わらない。

撮影したい、電話しなければならないのなら、一般席ではなく、プレスエリアか2Fの業者席に行くべきだ。

「仕事」と言うなら一般人に迷惑をかけるべきではない。自分の仕事という利益のために、少なくともユーザーである人達に不利益を不愉快な思いをさせないのがプロである。ユーザーが出来心で撮影したり、ちょっとケータイを覗いてみるのとは別次元の話だ。

「堅い事言うな」と言われるかもしれない。実際その自覚はある。しかし、一般の、ルールを守っているユーザーが「損」したという気持ちになるような事は避けるべきだと、少なくとも「元」業界人としては言っておきたい。

同行した友人も「周りが撮っているのだから、自分も撮っておけばよかった」と言っていた。マジメなユーザーほど損をする市場など、長続きするわけがない。

個性的な人が多く、狭い業界なので仕方ないのかもしれないが、業界内の付き合いだけに目が行きすぎて、お金を出してくれる人達に対する敬意が、少し足りないのではないだろうか? そう感じたのである。


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とまぁ、柄にもなく厳しいことを言いました。客観することの大切さを妙なところで感じた次第です。乱文かつ雑感ばかりですが、笑って読み流してもらえればと思います。

なお、当然ながら特定の誰かを批判しているわけではありません。式典のスタート前から会場全体をくまなく観察した結果を、私の言葉で綴っているだけのことです。深読みはなさらぬようお願いいたします。

最後に超個人的なことを。

作風が好きだったh.m.pのヘイキチロウ監督の「新人 初美沙希デビュー」が作品賞を受賞したことは個人的に嬉しかったことです。最初は企画単体女優を「再デビュー」という手法に(h.m.pが単体メーカーだったこともあり)疑問を感じたのですが、実際に拝見したら面白かったので、さすがヘイキチロウ監督だなと思った事を覚えてます。

心からおめでとうと言いたいです。

この作品には「業界人」だった頃のいろいろな思い出がある作品です。
当時は某社が精力が出るツボ刺激ソックスを出して、その宣伝担当として初美沙希ちゃんが頑張っていたのですよね。いろいろな努力が実ってホントに良かったと思います。いろいろ言いましたけど、団長も初美沙希ちゃんのファンですので(笑)。いただいた靴下、いまでも使ってますよ。

以上、超個人的なことでした。

(文/団長)


団長

「てらどらいぶ」管理人。 ゲーム開発のディレクター、動画配信サイト管理人のプロデューサーなどを歴任。 心のゲームは「ウィザードリィ」と「ザナドゥ」。ドラクエとFFならドラクエ派。

One thought on “スカパー!アダルト放送大賞2016を観覧してきた。

  • 2016年3月7日 at 22:16
    Permalink

    はじめまして
    ブログ楽しく拝見しています

    結果を見て、この業界は女優も男優も、監督ですら売れ筋の10人ちょっとでぐるぐる回してるんだなぁと
    思い知らされたような気がします

    あと、せっかく女優さんたちがゴージャスなドレス姿だったのに、
    男優賞にあたるエロメン達が普段着でビデオメッセージだけだったということで
    「安さ」だったり「場違い感」で場を冷やしてしまったのなら残念でしたね

    ただの素人のつぶやきです

    Reply

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