セクシー男優だからこそできる復興へのアプローチ「東日本大震災チャリティーイベント 〜ザ・面接軍団大集合スペシャル〜」レポート(前編)


3/12。新宿レフカダで「東日本大震災チャリティーイベント 〜ザ・面接軍団大集合スペシャル〜」が開催された。

震災直後から行われているチャリティーイベントで、今回は株式会社YOSHIMURAがイベントを主催。東日本大震災で被災した福島の支援を主目的としたチャリティーイベントだ。イベントの収益およびオークションの売上げは、全て福島県が運営する「東日本大震災ふくしまこども寄附金」に寄付される。

チケットは売りきれとなっており、会場は当然のように満員。当日は肌寒い一日だったが、面接軍団ファン、セクシービデオファン、セクシー男優ファンたちの熱気がこもり、むしろ暑いくらいだった。

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▲吉村卓さん

主催の吉村卓さんの挨拶があり、その後面接軍団登場。本日登壇したのは、市原克也隊長 平本一穂さん、佐川銀次さん、片山邦生さん、森林原人さん、ウルフ田中さん、そして面接軍団の首領である代々木忠監督。錚々たるセクシー男優陣だ。

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▲代々木忠監督

イベントは三部構成。第一部は面接軍団による被災地リポート。第二部は「ナマ面接」。第三部がチャリティーオークションだ。

イベントのプレトークが終わると、早速被災地リポート。

代々木監督、片山さん、森林さん、そして卓さんの四人がイベントに先立ち、被災地である南相馬市に日帰りの撮影取材を敢行。その映像が放映された。

 

■南相馬の現在

常磐道各所に設けられた放射線計。南相馬に近づくにつれ数値が上がっていくが、それほど危険な線量ではない。原発近傍地域とは言え、すでに放射線量は東京などと変わらない程度に落ち着いている。しかし、一部では「ホットスポット」と呼ばれる、雨水によって放射性物質が集積された地域もあり、そのような場所はいまだに立ち入り禁止となっている。

南相馬市で面接軍団を出迎えたのは、若い市議と復興関連会社の社長であった。

南相馬市は福島県沿岸部、いわゆる「浜通り」の北方を占める相双地域と呼ばれるエリアにある。福島第一原発の北方に位置し、市内全域で地震、津波、そして原発事故と、東日本大震災と、重大事故の被害を強く受けたところだ。
街の南側は、いわゆる福島第一原発の20km圏内に指定され、現在でも居住が認められない地域となっている。原発に近い大熊町や双葉町、浪江町といった自治体が全域避難地域に指定されているのに対し、南相馬市は同じ市でありながら、南北で居住や立ち入りの制限が違うという状況となっている。

参考:福島第一原発20km圏内(Google map)

20km圏内から30km圏内も一時期緊急時避難準備区域に指定されていたが、現在では解除されている。
しかし、帰還が許可されたとしても、一度人の活動を失った街や住宅は、そう簡単に復活しない。
街も生き物だ。人間がいなければ壊死する。建物も人間が住まないと簡単に痛む。特に人間が居住していない家は、室内での人の動きがないために空気が循環せず、壁や柱が朽ちる原因となる。

震災、そして原発事故から5年、復興は進みつつあるが、以前の活気を取り戻すのは、まだまだ道のりは遠いそうだ。

 

■放射能の影響と安全

原発事故といえば、気になるのは「放射能」だろう。
様々な風聞や解釈が持たれる福島の放射能被害であるが、実際のところ、現地ではどうなっているのだろう?

冒頭でも記載したが、南相馬をはじめ20km圏外の線量は東京と変わらない程度まで下がっている。ホットスポットなどの高線量の場所もあるが、立ち入りを禁じるなど管理を行っている。つまり、普段住人が生活している地域に限っては、特別線量が高い、健康に被害があるとは言えない状況といえる。
福島第一原発事故は先に起きたチェルノブイリ原発事故の例をなぞらえて語られることが多い。チェルノブイリ原発事故では炉心が爆発し放射性物質が広範囲に降下した結果、広範囲にホットスポットが形成されることになった。ウクライナは雨量が少なく特に森林などに降り積もった放射性物質が流れない状況になった。
しかし福島はウクライナと違い雨が多く、阿武隈山地の急峻な地形と相まって早々に海へと流れていった。チェルノブイリも福島も原発事故としては同じであるが、発生も事故内容も状況も違う上、地勢天候の面でも条件は違う。両者を同列に考えことはできないのだ。

これは農産物などについても同じ事が言える。

住民が食べる食料や福島産の農産物については、事前に厳密な線量検査を行い、安全だと認められたもののみを提供する姿勢を徹底している。例えば南相馬の子供達が食べる給食の食材は、事前に線量検査で問題がないものをストック、それを提供しているのだそうだ。
逆にきのこや獣肉など、放射能物質が蓄積されやすい食べ物については住民にも食べさせないし、当然県外に流通することもない。

このような対策の結果、南相馬市を含む福島県は、日本で今もっとも放射能的に安全な食料を提供していると言える。断言してもいい。福島の食べ物は「安全」なのだ。
原発事故から5年、いまだに福島県産の農水産物は危険、被爆の恐れがあるという見方が根強く残っているが、それらは放射線や福島の現状や取り組みを知らないからだろう。

では、人体への影響はどうだろうか。

現在検出されるセシウムやストロンチウムの影響は、医学的な調査を進める上で健康に大きく被害を与えないという結論がでているそうだ。ただし、事故時に多く放出されたヨウ素だけは、半減期が短く現在では影響を調べることができないため、実際にどのような問題があるか不明確な部分もあるそうだ。
もっとも、半減期が短いということは体内外での影響も少なく、実際にヨウ素が原因と思われる病例なども確認されていないという。
よく言われる甲状腺への影響についても、事故前に甲状腺検査が行われたわけではないので、実は原発事故を境に増えたと言えるような材料もないらしい。検査をした結果増えたのは、以前から発症していたものが検査をきっかけに発見されたかもしれないと言える。放射線の影響は皆無とは言い切れないが、原発事故がきっかけで甲状腺がんが増えたとはまだ決められる材料も揃っていないというのが現状だそうだ。

福島の原発事故は、同時に日本人に放射線との付き合い方を学ぶ機会となり、同時にこれまでの信じられてきた放射能観を変えるきっかけとなった。被災地である南相馬市や福島の人達は、健康や生死に関わる問題だからこそ専門的な放射能の知識を身につけたという。例えば、日常会話でもすらすらとセシウム137という言葉が出るくらいには、自分たちの身の回りにある放射能物質について語れるようになっているそうだ。

しかし、健康被害、また放射線の影響については、農水産物同様にいまだに根強い偏見が残っている。
特に放射線は染色体にダメージを与えるため、母胎への影響を心配(偏見)されるケースがあるという。そのため福島県では、子供のを生むこと、そして生まれてくる子供への不安を解消するために、健康診断や放射線知識の習得を行っているという。自信を持って、健康な子供が産めますと言えるように。

しかし現実は残酷である。実際、放射線被曝を理由に差別されるケースもあり、また「原発事故」が理由婚約が破談となるケースもあるという。

かつて原爆を投下された広島や長崎でも同様の「被爆者差別」があった。だが、原爆を生き延びた人々の子孫が今も元気に、普通の人と変わらない生活を送っていることは、今被爆者の子孫が話題にならない事を考えても明らかだ。被爆による専門的な解説は他所に譲るが、ともあれ医学的には福島第一原発事故における遺伝的問題は、現時点ではほぼ認められないだろうと考えられている。

 

■積み上げられるトンパックと吹きさらしの空き家

インタビューの後は、実際に被災地を見学。
20km圏内は、津波で家屋や農耕地が押し流されたこともあり、さながら原野のごとき様相を見せる。

しかし、その平原のところどころに、黒く大きな袋が積み上がっている場所がある。この地域から出た廃材を収めた「トン袋」と呼ばれる巨大な袋が集積されているのだという。

津波や地震によって生じた廃材やゴミは、このトン袋に入れて敷地内で補完されている。
20km圏内の廃材はすべて放射能汚染物に指定されるため、最終処理場が決定するまで動かすことができないそうだ。

トン袋の山は、Google mapでも確認できる。

長方形に集積されているいるのが、周辺の家屋などから出た廃材を入れたトン袋だ。各家庭から出た廃材は、それぞれの家が保管することになっており、この周辺の航空写真を見ても、庭などにトン袋が置かれているのを確認することができる。

震災の翌年、地震と津波で生じた東北地方の廃材を川崎市や北九州市が引き取り処分をすると発表。しかし、焼却時の排煙で放射性物質が拡散するとして地元住民が反対される事態となった。

その際引き取られるはずのガレキは、放射能の影響を受けた地域のものではない。しかし当時は、「東北」というだけで放射能に汚染されているものだと思われていたのだ。
当時は今のように情報があったわけではなく、また原発事故のショックが日本中を覆っていたタイミングなので、この反応は仕方ないかもしれない。しかしこのトン袋の山を見れば分かると思うが、線量の高い廃材、がれきは他県に処分を依頼することはない。それどころか、いまだに被災地が抱えている。この状況は、放射性物質を処理する最終処理場が決定するまで続くのだ。

仮に20km圏内の安全が確認されたとしても、最終処分方法が確定しないまでは、住民たちはこのトン袋とともに暮らしていくしかない。帰還がかなっても、暮らしに暗澹たる影を落とし続けることは間違いない。しかし、市関係者はそのことで恨み言を吐いたりしない。

「原発ができる前の双葉町周辺には重要な産業もなく、経済的にも苦しい地域であった。それが原発のおかげで、高収入を得る仕事に就くことができるようになった。また、資源不足で戦争に負けた当時の人から見れば、原子力発電は夢のシステムに違いなかった。原発には確かにいろいろな問題があるが、その当時の決断を、今の自分たちが否定することはできない」と、関係者は語る。

トン袋と未だに朽ちたまま残された廃屋は、あの震災から5年、なにも変わらなかった被災地の現実を突きつけてくるようでもあった。
しかし、南相馬の人達はその現実を受け入れ、現実的に問題解決に動き出している。

 

■被災地の性の問題

福島第一原発、およびその周辺の20km圏内には、全国から多くの作業員がやってくる。
その多くは当然健康な男性であり、南相馬にも1万人程度の作業員が居住しているという。そのため、市内の人口構成が大きく変わったという。

南相馬では、県外からの出稼ぎ作業員は増える一方、商業を支える人がいないというアンバランスな状況が続いている。

作業員が増えたことで、街は男性ばかりになり、そのことによる様々な問題も発生するようになったという。
まず接客業から女性の姿が消えた。作業員の関西弁を恐がり、バイトをやめてしまう娘もいるらしい。
働き手がいなくなったコンビニや飲食業は、夜の早い時点で閉めるようになった。男性が多い街で夜一人で女性が出歩くのは、やはり不安なものなのだろう。
結果としてコンビニの時給が東京以上に高騰する結果になってしまったという。

もちろん作業員側に悪気はない。ちょっとした女性とのふれあいがほしかっただけかもしれない。しかし、一度そういう経験をしてしまうと、女性側としては作業員に対する印象が悪くなってしまう。南相馬市ではそんな事例が増え、作業員に対して警戒心をもつ女性も少なくないそうだ。

そのような事態を避けるために、「南相馬に作業員相手の風俗街を作るべきだ」と市関係者は言う。

性に対する欲求不満は、健康な男性ならば仕方ない問題である。生殖という本能とそのために備わった生理はどうしようもない。そのような身体で生まれてきているのだから。

しかし、視察に訪れた某人気国会議員に陳情したものの「できない」とあっさり断られたそうだ。

国やマスコミ、そして県外の人達は、被災地が悲惨な地域として扱いたがる。しかし、そこには当然、生活する人、活動する人の営みがある。
被災者はいつまでも可哀想な人達でいるわけにはいかないし、作業員も無心無欲で過酷な環境で復興事業にいそしんでいるだけではない。
彼らも普通の日本人に変わりはなく、同時に人間としての欲求を持ち合わせているのは言うまでもない。

作業員の性欲解消問題。たしかにこのような問題は、男性誌やスポーツ新聞がおもしろおかしく取り上げるような話で、行政や大手マスコミが真剣に議題にあげられる話ではないのかもしれない。性欲は誰もが備えている欲求にも関わらず、いまだにタブー視されている。昨今では人権団体がセクシービデオ業界を糾弾するなど、性欲を持ち、発散させることへのタブーはより強まっているかのようにさえ思える。

そのタブーが、問題の深化につながり、置いてきぼりにされ続けた結果が、今南相馬市が抱える労働問題につながっている。

「福島で働いている作業員は性欲処理で困っている」と言う話よりは、国やマスコミとして話がしづらいことだろう。
性欲の話より、原発作業の悲惨さやいまだ残る震災の爪痕、生活している人達は困難や困惑を取り上げたほうが、政治的にもニュースバリュー的にも良いという事情はある。なにより性風俗に足して真顔で話することは、一般的な社会人にははばかられるところでもあるし、場合によっては不謹慎だと叩かれる可能性すらある。
復興や事故対応のため、懸命に働いている作業員相手の風俗街を、可哀想なフクシマに作ろうなんてどうかしている、と眉をひそめられるのがオチだ。

誰もそのような「リスク」を負いたくないので、臭い物に蓋をしてしまう。

しかし、面接軍団は自らがセクシービデオ業界という、タブー視された世界に生きている。だからこそこのような問題にリーチができた。
彼らの提言が今後、どのようなアクションにつながるかは分からないが、少なくとも作業員の性欲解消問題というイシューを提示してくれたことは、面接軍団による取材の大きな成果だと感じた。


 

上映後、卓さんと森林さんによる追加のレビューが行われた。

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▲神妙な様子でレビューする卓さんと森林さん

「セクシー男優が生業に対するリスクである性感染症に詳しいように、福島の人達は放射能を学ぶことでリスクを回避している」という森林さんの言葉は大きな説得力があった。
セクシー男優は月に一回性感染症の検査に行かねばならない。検査結果を携えないと入れてもらえない現場もあるそうだ。それが仕事であり日常である以上、かかるリスクを管理することは自身と仕事仲間を守ることになる。福島の人達も健康へのリスクと偏見に立ち向かうため、日本中の誰よりも放射能に対して詳しくなる。詳しくなるしかないのだ。

それを気の毒と思うかどうかは人それぞれだろう。しかし、そのような問題を真正面から受け止めている人達がいるということを、面接軍団は教えてくれたように思う。

大変残念なことだが、映像を見るにつけ、マスコミや新聞が報じる特番や記事よりも、面接軍団のインタビューや取材の方が「真に迫っている」と感じた。これはイデオロギーや様々な利益やしがらみから解放された「セクシー男優」という立場だからこそできたことかもしれない。

内容が内容だけ、場内はしんみりとしてしまった。開始時の熱気もどこへやら。映像や報告の内容を皆、真剣に噛みしめていたのだろう。

打って変わってイベントは、第二部の「ナマ面接」へと向かう。

(文/団長)


団長

「てらどらいぶ」管理人。 ゲーム開発のディレクター、動画配信サイト管理人のプロデューサーなどを歴任。 心のゲームは「ウィザードリィ」と「ザナドゥ」。ドラクエとFFならドラクエ派。

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