【ソシャゲ】ついにガチャ規制? いやいや、以前もやったでしょ?(前編)


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ついに業界がガチャの規制に乗り出しました。

「ガチャ」課金、上限5万円に 業界団体が自主規制へ(朝日デジタル)

スマホ向けソーシャルゲームで高額な課金が問題になっている有料くじの「ガチャ」について、業界団体「日本オンラインゲーム協会」は24日、課金上限額を5万円とし、当たりの確率を明示することなどを柱とした自主規制をまとめた。加盟社だけでなく、主要なソーシャルゲーム事業者が参加するモバイル・コンテンツ・フォーラムにも順守を求める。

改正したガイドラインによると、①ガチャで希望するアイテムを得るまでの推定総額は1回あたりの課金額の100倍まで、または上限額5万円②アイテムは種別に当たる確率を明示③社内に運用責任者を定めアイテムの確率設定などを記録に残す――などとしている。4月から実施する。

あれ?これって以前も同じような規制しませんでしたっけ??

コンプガチャが規制された際、日本オンラインゲーム協会(JOGA)は広告等で掲示するレアアイテム(超激レア、SSRなど)の出現率を1%、5万円以内で得られるように期待値を設定するように「自主規制」したはずです。

なお、JOGAのサイトでは、2012/8/15のプレスリリースにて、上記の規制について資料を公開しています。

JOGAガイドラインを作成、公表いたしました。

ランダム型アイテム提供方式における表示および運営ガイドライン(抜粋)

3.有料ガチャの設定に関する事項
(1) 有料ガチャにおいてガチャレアアイテムを提供する場合、以下のいずれかを遵守する
ものとする。
□ a. いずれかのガチャレアアイテムを取得するまでの推定金額(その設定された提供割合から期待値として算定される金額をいう)の上限は、有料ガチャ1回あたりの課金額の 100 倍以内とし、当該上限を超える場合、ガチャページにその推定金額または倍率を表示する。
□ b. いずれかのガチャレアアイテムを取得するまでの推定金額の上限は 50,000 円以内とし、当該上限を超える場合、ガチャページにその推定金額を表示する。
□ c. ガチャレアアイテムの提供割合の上限と下限を表示する。
□ d. ガチャアイテムの種別毎に、その提供割合を表示する。

ほーら、3年半前にも同じ事言ってるんですよ。

今回の発表は「ガチャの自主規制キター!wwww」というより、前回決めたものの守れなかった結果、大きな問題に発展してしまったので、再度規制を発表し、遵守をしようと言っただけのことです。

当時はコンプガチャが規制されたものの、なんとかガチャという課金方式を守りたいばかりに、規制します、ユーザーを保護します、安全に配慮しますとあれこれ言ったわけですが、結局利益を追うことに夢中になって、自分たちで決めたルールさえ守れずに荒稼ぎ。

雑な仕事でユーザーに大きな迷惑をかけたばかりでなく、業界全体の規制に及ぶハメになったのだから、グラブル運営チームは逆の意味で良い仕事をしたと称賛されるべきです。

ただ、今回の規制も消費者庁マターになりそうだったところ、自主規制しますと発表して矛先をかわそうとしているようにも思えます。

 

■何度も問題を起こす基本無料と重課金仕様

ソーシャルゲームはDeNAやGREEがブイブイ言わせていた、いわゆるグリモバ時代から、常に消費者問題と隣り合わせでした。
古くはアバターへの課金過多、回復アイテムへの重課金と絵師に対する報酬の問題。さらにコンプガチャによる高額課金問題があり、現在にいたって確率非公開や低い排出率の問題がクローズアップされました。

要するに、ソシャゲは生まれ落ちた時からずっと集金手段と暴利という商倫理的な問題を常にはらんでいたといえます。

なぜこうなるかと言えば、基本無料というビジネスモデルのせいです。

広告により大量の無課金ユーザーを集め、徐々に課金させていくというのがソーシャルゲームを含む基本無料ゲームビジネスの根幹です。特にソーシャルゲームの場合、一部の過多課金ユーザーから、大量の無課金ユーザー分まで利益を巻き上げる仕組みになっています。
これはどの無料ゲームでも同様ですが、ソーシャルゲームの場合、旧来のゲームデベロッパーではなくインターネットビジネス出身者が主導し発展してきた歴史があり、誕生直後からゲームとしての面白さよりもいかに課金してもらうかという仕組み作りに躍起になっていました。

例えば、グリモバ時代と言われたソシャゲ黎明期、ソーシャルゲームのUIはいかに課金させるかという一点で改良され続けました。
通常のゲームは、プレイアビリティの良さを追求するためにUIは磨かれていくわけですが、グリモバはガラケーのブラウザという解像度も低く表示能力も限られた条件を逆手に取り、ひたすら課金されやすいデザインを目指して改良されていきました。
ケータイのブラウザはフリーカーソルでなく、カーソルキーでスクロールや各リンクをフォーカスする方式でした。最初にフォーカスされるトップ画像にリンクを仕込み、課金につながるキャンペーンページに飛ばすなどは基本中の基本です。
結果から言えばその試みは成功し、そのメソッドは他のキャリア公式サイトや広告代理店に研究され、各サイトのトップページや課金画面、ランディングページにも応用されていくことになります。

このような課金させる仕組みやUIは、インターネットビジネスの人間がいたからこそ生まれたと言われています。ゲーム開発会社は、どこまでいっても「ゲームを作りたい人」たちの集まりであり、作ったコンテンツを買ってもらう、買われるゲームを作ることが使命だと考えていたところがあります。世間では銭ゲバのように言われるスクウェア・エニックスやコナミでさえ、ここまでえげつないユーザーからお金を巻き上げる仕組みは作れませんでした。今では評判が悪い各社でさえ、コンテンツを作って買ってもらい、利益をあげるというゲーム会社としての矜持をまだ持っていたわけです。

しかし「グリモバ」のビジネスエリートたちは違います。彼らはゲーム作りになんのこだわりもありません。ただひたすら、ユーザーからお金を巻き上げることだけに集中、邁進しました。
結果、ゲーム会社の人達が守り続けたゲーム性なんて全く不要で、課金ページへのリンクやバナーをファーストビューに埋め込み、他の対戦者との競争をガンガン煽り、ゲーム性もへったくれもないバトルでキーアイテムの奪い合いをさせる方が儲かるという、ただただ残念な現実があらわれることになりました。

ゲーム業界人が呆然とする中、グリモバや彼らのプラットフォームにソーシャルゲームを提供した各社は暴利をあげ、「任天堂の倒し方をもう知っている」等に代表される数々の暴れん坊天狗伝説を打ち立てました。

これで味をしめたソーシャルゲーム業界は、大量の無料ユーザーを集めて課金ユーザーを作るモデルをそれから今日にいたるまで堅守しつづけたわけですが、逆にこのメソッドを進化させられなかった事で、今日噴出してるあらゆる問題が発生したとも言えます。

 

■ケータイコンテンツはいつの時代もギリギリアウトだった

ここで一度、ソシャゲを生み出したケータイコンテンツ業界がいかにダメな業界だったか、ふりかえってみましょう。

ソシャゲ誕生以前、つまり00年代は、ガラケーのコンテンツは各キャリアの公式メニューに登録し、各キャリアの課金代行システムを通じて月額課金、もしくは都度課金という方式で収益をあげるビジネスモデルが主流でした。
公式メニューに登録してもらうため、キャリア担当者に企画書を出し、プレゼンし、よいしょしまくって、月一回の審査を通してもらうという悲しい儀式を通らないとビジネスにならなかったわけです。審査に落ちたらまた来月です。

どこのキャリアとは言いませんが、出した企画書に目を通さず、説明しているのにガラケーいじりまくってるバカな担当者もいたくらいです。キャリア担当者の態度のひどさはそれ一つで記事ができるくらい、それはもうひどいものでした。

そんな扱いをされてもキャリア公式メニューに乗せたい理由はたった一つ。当時はケータイでのクレジット決済がやりづらく、またWebマネーやビットキャッシュといったウェッブマネーもケータイでは今一つ使いづらかったためです。つまりケータイで課金させるなら、キャリア公式メニューに入らないといけなかったわけです。

当時はケータイの進化もめざましく、Webページもパソコンでみなければならないような重いコンテンツ(映像や音楽等)をのぞき、ケータイで見る事が主流となりつつある時代でした。インターネット普及後、一家に一台はあったパソコンが、ケータイに取って変わられて、徐々に不要となりつつある頃でした。

特にケータイは、パソコンやゲーム機が買えない低所得者の娯楽として必須のものとなりました。小泉政権時の「痛みを伴う改革」により中間層の所得が下がり、非正規社員が増えた時期とちょうど重なります。娯楽に回すお金がなくなった彼らは、生活で必携となったケータイで遊ぶことに夢中になります。

当時メインであった月額300円等の価格設定も、彼らにちょうどいい価格帯でした。一ヶ月まるまる利用して300円しかかからないという安さと安心感は、ケータイコンテンツ普及の大きな原動力となります。また都度課金にしても、月トータルで見るとそれなりの金額になるのに、1度の買い物は100円程度と安いために、購入に躊躇しない人達も現れました。

こうしてケータイコンテンツにバブルが訪れます。ケータイが進化してFlashや動画が再生されるようになり、リッチコンテンツと呼ばれるジャンルが人気となります。

一方、ローテク側では「出会い系」と呼ばれるサイトが勢いを持ち、大手インターネット企業も「出会い系」らしいサイトを立ち上げるようになりました。これら出会い系サイトはケータイだけではなくPCやPC兼用のサイトも多かったのですが、ケータイという個人に紐付いた端末が普及するにつれ、ケータイ専用のものも増えてきました。例えば楽天の「前略プロフィール」やサイバーエージェントの「男の子牧場」などです。
SNSという言葉が流行する前は、元楽天の社員が立ち上げたGREEも、事業化した際は出会い系的なアピールをしていた時期がありました。これら大企業が運営する、もしくはキャリア公式に登録された出会い系は、アングラな出会い系と違い、直接的な性的交流を目的としたものではありません。立ち位置的には現在でいう婚活サイトみたいなところでしょうか。とはいえ、結局は利用者のモラル次第であり、どのサービスも様々な倫理的問題を抱えていくことになります。

当時のケータイコンテンツ業界の稼ぎ方は、一度入会させた後、退会方法を分かりづらくし、仮に退会のリンクを押されたとしても、何度も「本当にやめますか?」というラジオボタンのページを重ね、「退会させない」という方法が当たり前のようにとられていました。

例えば某サービスの場合、退会リンクを押すと、最初に退会理由を尋ねられます。「対人トラブルがおきた」「使いづらい」等です。しかしこれらの理由を押すと、解決法が表示された後、トップ画面に戻されます。つまり退会ができないのです。このような質問が何度も繰り返され、選択肢を間違えるたびにトップ画面に戻されるという、リライト系美少女ゲームのような展開が続きます。ちなみに正解は、「全ての選択肢で「その他」を選び続ける」です。

退会する方法が難しくなると、ユーザーは退会することそのものが面倒になり、はっきりと退会したいという意思を持たない限り、辞めなくなります。すると、このようなサイトを一切利用しないのに課金しつづけるという、サービス側には一番都合がいいユーザーができあがります。これを「眠り会員」といいます。

ケータイコンテンツビジネスは、この「眠り会員」をどれだけ増やすかという事に注力されてきました。アクティブ率という変な指標がありますが、これは課金しながらも実際にサイトを利用しているユーザーがどれだけいるかというものです。基本無料が主流となった現在においてはアクティブ率が高い方が課金機会につながるとされていますが、当時のアクティブ率は真逆で、眠り会員がどれだけいるかという指標に使われていました(今でも月額サービスでは同様のリサーチが行われています)。

余談ですが、私が以前勤務していた某大手IT企業でも、担当役員自らが「退会ページはユーザーから見えないところに作れ」と指示していたくらいです。結果、弊社に退会の問い合わせが殺到するだけでなく、信販会社にまで「退会方法がわからない」と苦情がきたといいます。結局、信販会社の担当者が退会方法を債務者に説明するという状況もあり、大変憤慨していました(実話)。

現在ソシャゲの商倫理問題が噴出していますが、こうやってふりかえると、多くの企業がまっとうなビジネスをやっていたとは言え、大企業が率先してアコギなビジネスで荒稼ぎしていたのは、キャリア公式時代から実はなにも変わっていないと言えます。

このような、正直アウトな倫理的な問題を抱えつつも、巨大市場に膨れあがったケータイコンテンツ。
こんな中で新たなケータイコンテンツの地平を開くサービスが登場します。そう、モバゲータウンです。

後編に続く 文/赤蟹)


赤蟹

スベスベマンジュウガニ並みに猛毒を吐きまくる赤い蟹の人。「てらどらいぶ」の裏ボス。サイト管理とコーディング、デザインなどを担当。文章を短くできないのが悩み。

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