【ソシャゲ】ついにガチャ規制? いやいや、以前もやったでしょ?(後編)


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昨日の記事に続き、後編です。前編はこちらから。

【ソシャゲ】ついにガチャ規制? いやいや、以前もやったでしょ?(前編)

■ソーシャルゲーム前史

モバゲータウンは、これら出会い系サイトSNSをベースに、リッチコンテンツであるブラウザゲームを実装した、あたらしいビジネスモデルとして注目されました。

そのビジネスモデルを説明する前に、モバゲータウン誕生以前のケータイコンテンツの状況を説明しておきます。

 

当時の公式メニューサイトは、アドネットワークに登録し、広告をメディア(要するにアフィリエイト収益を目的としたケータイサイトの事)に掲載してもらうことで会員を集めていました。そのメディアを経由して登録された場合、報酬として月額費と同額から約2倍ほどを支払う必要がありました。報酬額が安ければメディアに掲載してもらないので、報酬を高めに設定する必要があったのです。それだけ当時の公式サイトの集客は必死だったわけで、同時に月額の2倍も報酬として払える程、当時のケータイコンテンツ業界は流行っていたとも言えます。

しかし、ユーザーがケータイサイト(非公式含む)に慣れてくると、これらオススメサイトがそのサイトの収益源になると気づかれるようになります。当時は「嫌儲」という言葉があったくらい、アフィリエイトが嫌われる時代でした。メディア作る方もそれなりに大変なのに、他人の褌で相撲とってるように思われていたんですね。

メディア側も広告収入のため、様々な試行錯誤をするようになったわけですが、その問題をモバゲータウンはあっさり、モバゴールドという手段で解決してしまいました。

モバゲータウンの画期的なところは、モバゴールドという仮想通貨を作り、スポンサーサイトに登録することでそれが貰えるという能動的な広告手法を生み出したところです。先行するSNSも広告収入で収益を得ていましたが。しかしモバゲータウンの場合、ユーザーにもインセンティブを与えて積極的に登録させることにより、出稿側にもより確実な広告効果を提供できたのです。

先にも説明した通り、当時のガラケーのコンテンツはキャリア公式の月額課金方式が主だったため、モバゲーの広告手法との親和性は高く、同時にほとんどのサービスが月額有料だった時代にあって、(表向きは)無料でいろいろなゲームが遊べたりアバターをデコったりできたため、ケータイコンテンツのメインターゲットである学生や低所得者層に大ヒットしました。

モバゲーのスタートは、広告収入を得るためのいわゆる勝手サイトであり、アバターやゲームも広告収入を得るための手段でした。

  1. 出会いを求めるユーザーを集める
  2. アバターやゲームを餌に広告をクリックさせたりスポンサーサイトに登録させる
  3. 広告主にはユーザーやアクセスを、ユーザーにはモバゴールドを提供する

モバゲーは出会い系ではないと主張されますが、初期のモバゲータウンは女性が登録すると友達申請が殺到し、ゲームを遊ぶどころではないような状況になっていました。

ただ、この流れもモバゲーに未成年者のユーザーが増え、社会問題になった頃に様々な対策が施されるようになります。この頃にはゲームやアバターパーツも充実し、スポンサーサイトの収益だけでなくモバコインの販売でビジネスがまわるようになっていました。未成年ユーザーがモバゴールド目当てとコミュニティの連絡用にリアルフレンドをどんどん誘うようになりましたし、わざわざ出会い目的のオッサンたちを集め危ない橋を渡る必要もなくなっていたんでしょう。

モバゲータウンの成功を受けて、ライバルのGREEが「釣り★スタ」をヒットさせ、mixiもサンシャイン牧場等の無料ゲームを投入。ここに国産SNSのゲームプラットフォーム化がはじまることになります。

やがてモバゲータウンが怪盗ロワイヤルをリリースし、現在のソシャゲの概念ができあがります。その後、当時斜陽だったコナミがドラゴンコレクションを発表、ゲーム性より版権やビジュアルが重視される時代が到来し、第一次ソシャゲバブルが発生します。

結果、多くのゲームメーカーがグリモバに雪崩込むことになります。まともにゲームを作るより、プラットフォームから提供されるシステムを使い、絵師のイラストを買い叩いてソシャゲを作ったほうが儲かるのだから当然の流れです。胡散臭い絵師紹介ビジネス業者や編集プロダクションがはびこり、報酬の不払いなど様々な問題を起こしていました。

ゲームクリエイターたちからは一段低く見られながらも、斜陽のゲーム業界をよそに大きな売上げを作り出すに至り、ゲーム会社が生き残りをかけてソシャゲに次々と飛び込んだ結果、ゲーム業界の求人がどれもソシャゲ関連となり、まともなゲームを作りたい若者の希望を粉々に打ち砕きました。

重課金をはじめとする消費者問題もすでに発生していましたが、グリモバにぶらさがる会社が増えた事、キャリア自身もグリモバからの手数料で大きな利益を得ていたため、どこも見てみないふりをしていました。今から考えると、自主規制される現在のほうが、実はなんぼかマシなくらいかなと思えます。

しかし、その絶頂期はスマートフォンの普及とネイティブアプリの流行、そしてコンプガチャの規制により急激にしぼんでいきます。ついでにその煽りで、各コンテンツプロバイダーから手数料を巻き上げていたキャリアも売上げを落としていきました。

「d○c○m○ザマァwwwww」と当時は思ったものですが、彼らは後にコンテンツプロバイダー各社を斬り捨てて自社でコンテンツサービスを運営(docomoのdアニメストアやauのスマートパス等)、各ショップの「レ点チェック」で会員を集めるという荒技で大復活することになります。いやな世の中ですね。

ソシャゲプラットフォームが沈み、キャリアメニューという大きな収益源を失ったキャリア。海外の無料ゲームが流行し、コンテンツにお金をかけない時代が到来しました。そこに、これまでのソシャゲの荒稼ぎメソッドを見直し、本格的なゲーム性を兼ね備えた「パズル&ドラゴン」が登場し、再度ソシャゲバブルがやってきます。

 

■課金やガチャそのものが悪なわけではない

パズドラの成功を受けて、パズドラの方法論が各ソシャゲメーカーに広がっていくことになりました。しかしパズドラの登場から3年、クリティカルなトラブルさえ詫び石を投げてごまかすような会社も現れ、再度コンプガチャ規制前夜からパズドラ登場までのソシャゲ冬の季節がやってこようとしています。そのような流れの中で、三年半前とまったく同じ規制を行うと発表しているのだから、まるでリライト系美少女ゲームをやっているような気分になりますね。

なお、海外でもこのような「基本無料」のゲームがありますが、日本と事情が変わってきます。
欧米のゲームはガチャが規制されているため、課金すると進行が有利になるシーズンパスや、追加DLCなどで収益をあげるモデルとなっています。またAngry Birdのように広告収入やライセンスビジネスを主な収益源とするゲームも多いです。基本となるゲーム部は完全無料で遊べるものが基本的に「無料で遊べるゲーム(Play to Free)」と言われます。

モバゲータウンも、もともとは海外のビジネスを参考にしていたので、登場当初は海外の無料ゲームと同じく広告収入で収益をあげていたのは前述した通りです。しかしアバターやゲーム内課金が広告収入を上回り、さらにガチャという高収益率の手法を編み出すに至り、日本独自の進化を辿るようになったのでしょう。

結果、何百万人という大量の登録者を集め、彼らの中から重課金者を作るために試行錯誤をしていたわけです。

かつてMMORPGでは「廃人」と呼ばれるプレーヤーがいて一種の社会問題にもなっていました。定額制のMMOの場合、全てのプレーヤーが平等な条件でゲームをはじめるわけで、他のプレーヤーとの差をつけるには強い仲間を作るか時間をかけなくてはなりません。そのため、ずっと接続しっぱなしでゲームをやり続ける人がいたわけですが、現在のソシャゲは無課金というプレイヤーがいるかわりに、課金をすることで強くなれます。プレイする時間をお金で買っていると言ってもいいでしょう。
そこにイラストの魅力が加わってユーザーのガチャ熱を喚起し課金に結びつけるというのが今のソーシャルゲームのガチャビジネスの根幹です。

しかし、個人的には「ガチャ課金」そのものは悪くはないと思うんです。

あるジョブを極めるのに必須と言われる武器が週一回しか挑戦できないハイエンドコンテンツを一年以上やり続けないと手に入らないことと、数十万という金額をガチャにつぎ込む事は、どちらが「悪い」とも「狂っている」とも言えないと思うんです。結論からすれば「知らない人からしたらどっちもおかしい」という話になります。

ただガチャは、提供割合が不明であったり、0%と言っても変わりない低確率でしか目当てのアイテムがもらえなかったり、課金のレベルが世間一般の金銭感覚とかけ離れていたり、そうと分かっていながら重課金を煽るようなやり方をしたり、それで一度規制されて、それを受けて業界で定めたルールを平気で破ったりした事が問題なのです。

例えばパッケージゲームのDLCのように、追加キャラが1000円で買える等ならそんなに問題にならなかったはずですし、ランダム排出だったとしても、1000円でSSRのキャラのどれかがもらえるとかなら規制も入らなかったでしょう。簡単に言えば、排出されるアイテムの強さにレアリティという段階を設け、多くの場合ハズレキャラしか出てこない(97%の確率でハズレなので)事が問題なのですが、当たりを簡単に出してしまったらガチャを多く回してもらえないので、当たり前のようにハズレを大量に入れることになります。

ゲームが続けば、SSRや超激レアといった強アイテム、強キャラは増える一方です。グラブルのようにレアリティごとで出現率を設定していれば、同レアリティのアイテムが増えるほど、目的のアイテムが当たる確率は減っていきます。
また、ガチャをしてもらうには以前に出したSSRよりも強いキャラやアイテムを投入しなければなりません。結果、安くはないお金を払い、低い出現率をかいくぐって手に入れたはずのレアアイテムは陳腐化し、新しく実装されたアイテムとは比べものにならないほど弱くなります。
古いレアアイテムは「使いものにならない」時点でハズレアイテムと同じことになります。散々煽られてガチャにお金をつぎ込んだはずなのに、いつの間にかハズレ扱いってヒドイ話ですよね。しかも不要だからと換金することもできません。ソシャゲのアイテムには「実体」がないからです。

■二度目のソシャゲバブルは始める寸前か?

昨年の決算発表でサイバーエージェントの藤田社長は、ソシャゲ業界の「残存利益」という言葉を口にしました。

これからは業績の良い数社だけが生き残るということです。2013年には5000億を突破すると言われていた日本国内のモバイルゲーム市場ですが、2015年が終わった時点で4000億も突破できませんでした。2014年から成長が鈍化がはじまり、辛うじて市場は拡大しつづけていますが、以前のような勢いはなくなりました。
また、多数のモバイルゲーム、モバイルゲームメーカーが立ち上がった結果競争が激化し、一つのゲーム、サービスごとの利益は大きく下がっているはずです。
またユーザー認知を高めるために多額のプロモーション費用も必要となり、立ち上げにも大きなリスクを負うようになりました。低コストで高収益な時代はすでに終わったといってもいいでしょう。

コンテンツ広告の難しいところは、「どんなに訴求しても興味のない人には届かない」という大前提があることです。

かつてはモバイルサイトを開くたび、電子コミックサービスのバナーが見られましたが、あれは電子コミックサービスがすでにプロモーション効果での殴り合いとなり、さながらオセロのようなバナー掲載場所の取り合いになっていたためです。現在のモバイルゲームも同じような状況に立たされています。年末年始にグラブったり、SMAPの中居正広がアイドルって楽しいなどと言ってた事も記憶に新しいと思いますが、すでにユーザーの取り合いが白熱し、TVにまで進出してきたという証左です。

今回JOGAは「いずれかのガチャレアアイテムを取得するまでの推定金額の上限は50,000円以内とし、当該上限を超える場合、ガチャページにその推定金額を表示する。」とし、前回同様5万円というラインを堅持してきました。
この「5万円」という金額は、多くの無料ユーザーを抱え、それらを重課金者で支える構造のモバイルゲーム、ソーシャルゲームの収益分岐点としておそらく必要最低限の金額なのだと思います。仮に1万円というラインを引かれたら、バタバタと倒れるゲーム、もしくはゲーム会社が増えてしまうのでしょう。

5万円という金額をどう思うかは人それぞれでしょうが、一人のユーザーにガチャイベントごとに5万円出してもらわないと成立しないサービスというのは、サービス面、また運営面から見てもあまり健全とは思えません。何度もこのサイトで言ってますが、基本無料で多くの人を集めるというビジネスモデルそのものが、もう限界ではないのかなと思います。

ただ、かつてのキャリア公式サイトのように、大量の眠り会員を作って稼ぐサービスもまた健全とは言いがたいですが。
PCサイトの話ですが、大手の資本が入っている某インターネットサービスは収益の7割がやめ忘れた眠り会員からの会費で、しかもバカにできない金額という話をこの前聞いたばかりです。クレジットカードの明細をしっかり見ない人も多いので、やめ忘れも多いようですが、なんにせよもったいない話です。

うまく次のユーザー側もサービス側も納得できる着地点ができてほしいものですが、なにか人間として大切なものを忘れないとインターネットビジネスはできないような現状もあって、見通しは決して明るくないなぁと少し悲観的な見方がぬぐえません。

もうすこし、コンテンツビジネスが健全に利益が出せるようになればいいのですけどねぇ。

(文/赤蟹)

 


赤蟹

スベスベマンジュウガニ並みに猛毒を吐きまくる赤い蟹の人。「てらどらいぶ」の裏ボス。サイト管理とコーディング、デザインなどを担当。文章を短くできないのが悩み。

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