【グラブル】サクラ大戦コラボが始まったけど…


sakurataisen
出典:http://granbluefantasy.jp/

5/13(金)より、サクラ大戦のコラボが始まりました。

90年代後半のコンシューマーのギャルゲー市場はセガとコナミとエルフによって席巻されていました。シリーズごとの売上げ順を見ると「ときめきメモリアル」、「サクラ大戦」、「同級生シリーズ(下級生を含む)」と続くのですが、純粋なソフトごとの売上げで比較するとときメモ、サクラ大戦に続いて野々村病院の人々がランクインしてくるのがカオスです。ちなみに野々村病院の人々は、ゲーム機でありながら性行為の場面がグラフィック付きで表現されるX指定のゲームです。

セガのゲーム機といえば、一位になれないゆえに渋くマニアックなイメージがありますが、セガサターンは一時期「PCでしか遊べないエロゲーが遊べる」事をちょっとしたウリにしていた時期もあったのですよねぇ。

PCのエロゲーをCD-ROMの音声再生などを生かして移植しまくっていたPCエンジン(ドラゴンナイト2のヤマトタケルのCVがまさかの神谷明!)が、後継機であるPC-FXの失敗により市場から消え去り、そのギャルゲーマシーンとしてのニッチをセガサターンが埋めたというわけです。さらにビデオCDが使えるようになるムービーカードを挿せばセクシーなビデオも楽しめるようになります。無敵ですね!

そんなギャルゲーマー御用達ハードに颯爽と現れたのが、当時飛ぶ鳥を落とす勢いであった広井王子、あかほりさとるがタッグを組んだサクラ大戦です。

セガサターンの大きな目玉となるゲームの開発を求め、当時のセガの副社長だった入交昭一郎氏(後のセガ社長)自らグアムの広井王子氏の元に訪れた結果、プールの中に蹴り飛ばされたというエピソードが有名です。当時の広井王子氏がいかに「時代の寵児」だったかをうかがい知れる話です。
サクラ大戦の脚本を担当したあかほりさとる氏と同じく、バブルが崩壊して世間が喘ぐ中、その残滓を吸収しまくって暴れまくる両氏は、オタク人口の増加と声優ブームと、進化と隆盛に乗って勢いづくアニメ業界の「象徴」でありました。

広井王子氏とあかほりさとる氏が編み出したメソッド、つまりノリと勢いと爆発と燃え(萌え)というコンテンツスタイルは、バブルが崩壊して国民の収入が大きく下落する中で、同じく売上げ減を強いられるコンテンツ業界の中にあって強力な消費エンジンといえる存在でした。

富野由悠季がVガンダムで商業的に失敗すると、アニメもラノベもゲームも彼らの方法論に則ったものが量産され、あまりに同じモノばかりなので「全部広井王子とあかほりさとるが作っているのではないか?」とさえ感じたほどです。

彼らのメソッドはユーザーを引き留めることに成功はしましたが、一方ですでに世間と隔絶しはじめていた「コンテンツ」というものをより一層世間から遠ざける結果になっていたように思います。

当時のアニメやラノベ、そしてゲームの多くは、それらで用いられている「お約束」と「パロディ」、言語化しなくても通じる雰囲気、説明しなくても理解される用語によって作られていました。
逆に言えば、お約束も雰囲気も用語も分からなければ「分からない」のです。

ゲーム市場もファミコン&スーパーファミコンのような一家に一台ある「国民的ゲーム機」という概念はなくなり、日本人が緩やかにゲームから離れていった時期です。一応プレイステーションは持っているけど、遊んでいるのはパラッパラッパーとか、ドラクエやFFくらいとか評判のいいゲームや手堅い大作だけ。ゲームから離れていった人の、そう少なくない割合が「最近のゲームはよく分からない」という理由でやめていったことでしょう。

その「分からない」原因がオタク向けにチューニングされた部分であったり、当時のアニメやラノベのノリや雰囲気が分からないと理解できない部分、すなわち「前提がないと理解できない」部分です。このような「理解しがたいなにか」を感じた一般人は、「オタク文化」を「理解不能」と判断することになり、結果として後々にまで響く偏見の原因になったのかもしれません。ゲームですらそうなのだから、本家アニメはなおさらでしょう。

現在はCGMの発展とライト層への普及が進むことで、当時ほどコンテンツと世間が隔絶することはなくなりましたが、これらも一般層(ライト層)に「お約束」が理解されるようになったためです。そういう意味でこれらの90年代メソッドは20年かけてじっくりと浸透していったとも言えます。

むしろ近年は過激なパロディがウリのコンテンツも増え、90年代メソッドはいまだに元気なのかなと思ったりもします。見方を変えれば、当時のコンテンツに触れて育った世代や、一般人を退けたハルマゲドンを生き残った人達が「現役」となったため、当時のやり方に回帰しているとも言えるかもしれません。

ここまで話をしておいてなんですが、私は広井王子もあかほりさとるも嫌いでした。あのノリについていけなかったこと、メディアに出るたびにビッグマウスを叩く様子、露出が多すぎていつでもどこでも目と耳に飛び込んでくるあのカンジがとてもイヤだったのです。

そのため、ここまで話をしておきながらサクラ大戦は一度もやったことはありません。

アニメのお約束にはじき出された一般人とは、まさに私の事です。

大人になった今となっては、あの不況下であれだけの業績を叩き出したことはスゴイことであり、メディアにひっぱりだこだったのは当然です。むしろ広井王子とあかほりさとるに何かをやらせておけばお金になるとい状況を生み出したのは、本当にスゴイことだと思います(真面目に言ってます)。

時代を後方から俯瞰すると、先人の偉大さに驚くことはたびたびあることですが、一方であの二人が今なにをやっているのか気になって仕方ありません。レッドカンパニー改めレッド・エンターテイメントは中国資本が買い上げて云々になってどうこうと揉めてましたが…。最後に活動を確認したのはアガレスト戦記かなぁ。乙女ゲームの方でも新作があるようですが、よく分かりません。

生み出したものが偉大であるがゆえ、時代の残酷な流れを感じます。またいつか、当時みたいに大暴れする日がくるのでしょうか?

そしてなにより、90年代コンテンツコラボシリーズはいつまで続くのか、そして最近の若者は「スレイヤーズ」「サクラ大戦」というオッサンホイホイのオラオラについてこれているのか、気になって仕方ありません。

…まあ、課金ユーザーのボリューム層考えると妥当とも言えるのですが…このまま続くようなら、次はサイレントメビウスとのコラボをお願いします(真顔)。

(文/団長)


団長

「てらどらいぶ」管理人。 ゲーム開発のディレクター、動画配信サイト管理人のプロデューサーなどを歴任。 心のゲームは「ウィザードリィ」と「ザナドゥ」。ドラクエとFFならドラクエ派。

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