鷲宮名物?「らき☆すたラーメン」


鷲宮神社をご存じでしょうか?

関東最古の神社であり、関東各地に点在する酉神社の本社であり、東京十二社にも数えられていた由緒正しい大社です。とまあ、東京十二社の方は鷲宮は東京から遠すぎるという至極まっとうな理由で外されてしまいましたが。

地元では知らない人はいないほどの神社でしたが、その知名度はお世辞にも埼玉県内ですら高いとは言えない状況。東京までいくと鷺宮と勘違いされる有様。浅草の酉の市は有名ですが、本社に当たる鷲宮神社の大酉祭を知っている人なんてそう多くはありませんでした。

しかし、そんな鷲宮神社が、一気に全国区になる事件がありました。

当時大人気だった京都アニメーション制作の「らき☆すた」のオープニングで、鷲宮神社の鳥居周辺の風景が使われたことをきっかけに、ファンが「聖地巡礼」と称して訪れるようになりました。

それまでのアニメは架空の土地を使うのが半ば常識となっており、仮にモデルにした街があったとしても、仮名や風景の一部を変えて使うのが当たり前でした。しかし「らき☆すた」のOPは、鷲宮神社の写真をそのまま模写したような純度で、どう言い訳しても鷲宮神社にしか見えない…というか当時のWikipediaに載っていた写真そのまんまだったため、ファンの間で火がついて聖地巡礼がブームとなったのです。

コスプレして参拝したり、絵馬にイラストを描いたり、それぞれのらき☆すた愛を競うが如くファンの態度が過激化していくなか、ついにテレビが「異常な現象」としてこのブームを取り上げました。
しかし、予想に反し神社側も寛容な姿勢を示した事から悪ノリしたアニメファンが急増、ちょうど盛り上がりを見せつつあった痛車で駆けつけたりと、関東の片田舎が突然アキバ化する事態となりました。
さらに悪ノリした鷲宮商工会も「乗るしかない!このビッグウェーブに!」とばかりにらき☆すたとの町内の各店舗がコラボをはじめ、町をあげての聖地化に突き進むことになりました。

鷲宮神社があったとはいえ、鷲宮町は観光資源にも乏しく、町内の有名企業はペンタブレットで有名なワコムのみという残念だけど関東のあちこちにありそうな片田舎(しかもワコムは後に隣の加須市に移転)。商店街も高齢化が進み、郊外の大型店にお客を取られ、どの店もやっているかどうか分からないような有様でした。

そんな鷲宮にとって、たった1カットでも町のシンボルである神社の大鳥居が出たのは光明でした。鷲宮の経済の命運をその1カットに全てかけたのです。

結果から言えば、この聖地化は大成功しました。どれくらい成功したかといえば、神社から北に延びて県道加須幸手線に接続する道路に新しい街灯が並んだくらいです。

これら鷲宮の取り組みは聖地巡礼のモデルとなり、以後各地でアニメとコラボした聖地化の動きが活発化します。その猖獗となるのが、ガールズアンドパンツァーで大々的にコラボした大洗でしょう。

今でこそガルパンの大洗に押されていますが、関東の元祖聖地といえば鷲宮なのです。
もっとも、街中でドンパチやってもらっている上、元々観光地の大洗に対し、神社前の風景がオープニングに使われただけの鷲宮はあまりにも分が悪いです。
「大洗」という言葉は、北関東の思春期男子にとっては「大洗海岸でナンパする」という意味でした。東京や神奈川でナンパといえば湘南海岸、新島、式根島でしたが、北関東ではもっぱら大洗です。なぜなら大洗くらいしか海水浴場がなかったから(笑)。
そんな今も昔もナウなヤングにバカウケな大洗に対し、鷲宮はなすすべなく北関東一の聖地の座を明け渡してしまうのでしょうか?

否!

まだだ!まだ鷲宮は終わらんよ!

自治体としては久喜と合併して終わってしまいましたが、聖地としての鷲宮はまだ終わったわけではありません。頑張って様々なアニメファン向けイベントやオリジナル商品を開発しているようです。

ところで、この「てらどらいぶ」は私を含めて(旧)鷲宮町出身者、もしくは鷲宮周辺の自治体出身の人間で運営されています。今でこそ東京に出たり、埼玉県内で引っ越したりと住処を変えた者も多いのですが、その根っこは鷲宮にあると言っても過言ではありません。

そんな私が先日帰省の際に見つけたのが、この「らき☆すた しょうゆラーメン」

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かがみんとつかさが描かれた、鷲宮限定販売の袋麺です。

なんでも埼玉県産小麦を100%使用、しかもかんすいも化学調味料も使っていないというナチュラルテイストにこだわった乾麺です。製造しているのは鴻巣の製麺会社さんです。純鷲宮産ではありませんが、「こんなもの食べたら口がサイタマになるわ!」と言われるくらいには埼玉ナイズされたラーメンです。

鷲宮限定と言うだけあって、久喜市内でも旧鷲宮地区の6店舗でしか買えません。

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作ってみました。

たいていの袋麺同様、入っているのは麺とスープの素だけ。具は別途調達するスタイルです。
実家にはインスタントラーメンに具を入れる文化がないため、ビジュアルがこんな淋しい感じになってしまいました。私は秋子さんではないのでナルトの自作は無理ですが、せめてゆで卵くらい作るべきでした。

味は…ふつうの醤油ラーメンですね。

とりたてて美味しいというわけでもなく、さりとてマズいということもありません。鶏がら、昆布、鰹節などから作られるトラディショナルな北関東のラーメンのため、東京で流行りの背脂しょうゆなどに比べるとあっさりしています。何度食べても飽きない味ですが、ただ205円(税込)と袋麺にしては少々お高いのが難点。

肝心の埼玉産小麦100%の麺ですが、かん水が入っていないので臭みもない代わりに、かん水入りの麺のような歯ごたえもありません。ラーメンというよりうどんに近い食感です。一蘭で硬めなど食べている人は、あまりの柔らかさに驚くかもしれません。

というか、あまりに柔らかかったので、母上がゆで時間間違った疑惑が私の中でふつふつとわいております。これはあとでもう一度食べてみることにします。

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これからも元祖聖地として、我が故郷には頑張っていただきたく。そして、日本亭の「白石稔カレー」はまだ売っているのでしょうか? また気が向いたら我が故郷鷲宮のあれこれをリポートします。

(文/赤蟹)


赤蟹

スベスベマンジュウガニ並みに猛毒を吐きまくる赤い蟹の人。「てらどらいぶ」の裏ボス。サイト管理とコーディング、デザインなどを担当。文章を短くできないのが悩み。

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