【街のナニコレ】「候補者名」がないポスター


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ポケモンGOをやりに街を歩いていたところ、駅前で都知事選の選挙活動らしい人達に会いました。
明日(記事掲載時は本日)が投票日ということもあり、各陣営が選挙活動に力を入れている様子がうかがえたのですが、よく見るとポスターには候補者の名前が書かれていません。

ビラ配りやっている人が配っていたビラも、このポスターと同じデザインと同じものでした。

前職と推薦する党が記載されているので、固有名詞がなかったとしても「候補者」が誰かは予想がつくのですが、なんだか不思議な感じです。

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街にはこんなポスターも貼ってあります。こちらも候補者名はなく、候補者のシルエットと「ジャーナリスト」という職業名が書いてあるだけです。こちらも横顔のシルエットで誰を推しているのか想像がつくのですが、どうして候補者名がないのでしょう。

実は公職選挙法で各候補が作れるポスターやチラシは、公費が適用されると同時に枚数は制限されています。これは候補者の経済力次第で競争力に差が出るのは好ましくないという理由だそうです。

候補者の名前や顔が印刷されたポスターは、いわゆる選挙ポスター掲示板にしか貼れません。そのため各党の支持者宅や各党の掲示板には、このような候補者名のないポスターが貼られます。

選挙期間においては所属・推薦する党や支援団体(確認団体と言います)による応援活動はルールの範疇なら許可されています。よく見ると上記のポスターにも、選管による証紙がついています。たまにインターネットなどに「このチラシを印刷して候補を応援しよう」というサイトを見かけますが、選挙期間中にやってしまうとアウトです。

公職選挙法は候補者の経済力の影響を制限するルールが多く、分かりやすいところでいえば買収行為や利益供与、選挙事務所での飲食物の提供なども制限されています。

過去には街頭演説時に配られていた「うちわ」が問題になったこともありました。

国会「うちわ」もめ 紙だけならOK、骨組みありは公選法違反? 微妙な境界、旗色悪い松島氏(産経WEST)

要するに「うちわ」はチラシなのかどうなのか、チラシでなかったら有価物(所有者の財産となる物品)にあたるのではないか、という指摘です。

記事にもありますが、過去の選挙活動で蓮舫議員も円形うちわを配っていました。しかし、うちわをビラとして登録し、選管の許可を得てシールを貼った上で配布しているので問題はなかったということです。松島議員の場合はがっつりうちわだったので追求されたということですね。

しかし、候補者の経済力が反映されないルーリングがされていても大政党や強力な支援者のバックアップがあれば、このような応援も可能になりますし、有名無実化しているような気がしなくもありません。

例えばポスター掲示板も、同じ候補のポスターなのに貼られている掲示板と貼られていない掲示板があります。これは選挙ポスターは候補者側が貼らなければならないというルールがあるためです。つまり経済力が反映しないとはいえ、それなりの費用と組織力が必要なのです。それでもまだ余力がある候補(党)が上記のような「候補者名のないポスター」を掲示できるのです。

こう見ると制限が制限になっていないような気もしなくもありませんが、こんな制限でもなければ各陣営がより「数(カネ)にモノを言わせた」選挙戦を繰り広げることにもなりかねないので、やはり必要なルーリングと言えます。

こう並べてみると、やはり大政党の公認候補は有利ではないか、と考えるまでもなく当然な事を改めて思ってしまうわけですが、当然政党はズルいとかそういう話にはなりません。

間接民主制を取る日本では、議員(首長)を選ぶということは国民ひとりひとりが自分の行政・政策への希望、利益を託すという事です。しかし、個々人が個々人の思想を反映する候補を立てるのは様々な理由で難しいため、考え方が近い政党や、職場など普段所属しているコミュニティを支持して、その団体が推す候補に投票するという流れが常識的です。

無党派という言葉が流行って久しいですが、泡沫候補でもなければ実際にはどこかしらの団体や、直接的な公認を得なくてもどこかの党から支援を受けており、当選の暁にはそれらの団体や政党の利益のために活動します。でなければ、「行政」という場所に居場所が作れないからです。

とまぁ、難しい話をしましたが、結局それなりの準備と予算、組織がある党とその候補が「勝つ」のは日本の政体や社会の現状を見ても仕方ないということです。

ただ、それもインターネットの活用により覆りつつあります。

今後の公職選挙法の改正しだいでしょうが、すでにSNSによる本人や支援者による活動は大きな効果を生みつつあります。公職選挙法の「候補者の経済力に影響されない投票結果」という目的にフォーカスすれば、インターネット選挙活動ほど効果的なものはないでしょう。
実際、前回の参院選挙も、ネット選挙活動による「善戦」が多く見られました。
ネット選挙対策も高度化し、今後コストは確実に増大するでしょうが、それでも既存のやり方ではかなわなかった中堅候補が奮闘できるようになったのは大きいです。中堅候補が勝てるようになれば日本の民主制もより直接民主制に近い「感覚」になっていくでしょうし、選挙への関心も高まり投票率も伸びていくかと思います。

あくまで希望的観測ではあるのですが。

それにしても、今回の都知事選は悩ましいですね。

前任の知事が突然辞めたこと、各党・各候補とも準備不足のまま選挙に突入し、都民に対しても各候補の政策がいまいち浸透しないままで投票日を迎えてしまいました。

誰に入れればよいのやら。未だに私は決めかねています。

ポケモンGOも流行っていることですし、「キミに決めた!」と都政を託せる候補がいれば良かったのですけど…。

(文/赤蟹)


赤蟹

スベスベマンジュウガニ並みに猛毒を吐きまくる赤い蟹の人。「てらどらいぶ」の裏ボス。サイト管理とコーディング、デザインなどを担当。文章を短くできないのが悩み。

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