【ニュースの小ネタ】ゴルスタと北関東のマイルドヤンキー


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こんにちは。北関東出身の東京都民、赤蟹です。春日部、上尾以北は北関東という認識です。

さて、先日大炎上した「ゴルスタ」問題。この問題について、興味深い記事があがっていました。

中高生限定「ゴルスタ」騒動が示した本当の闇(東洋経済)

記事によるとゴルスタを運営するスプリックスは、「森塾」という学習塾を運営する教育関連企業。その森塾は、アルバイト講師を使い比較的安い授業料で個別指導をしてくれる事をウリにしているそうです。しかし進学よりは学校の成績をあげる事が目的の塾のようです。2000年頃から、この手の補習塾が流行しはじめました。多くの塾も学校の勉強を補強する目的で運営され、生徒もそれを期待して通っているわけですが、補習系の塾は本当に落ちこぼれの生徒…成績は中の下で学校の勉強が授業で理解ができない層に向けて運営されています。

しかし、ゴルスタはそれら森塾に通う生徒から流行ったものではないという分析がされています。

ゴルスタは、森塾に通う子供たちが使い始めて普及したのだろうか? 中高生のネット事情に詳しいITコンサルタント・K氏はこう語る。「違います。ゴルスタは当初から中の下ランク以下の学力しか持たない、しかも塾に行かない、親も塾に行かせる発想を持たないような中高生層をターゲットしたコンテンツで構成し、投下されたサービスだったのです」

彼が知る、ゴルスタを実際に使っていた子供たちの典型例は、関東のいわゆるマイルドヤンキー層だ。「大都市から微妙に離れた鉄道空白地帯で、地元の学校で女子でも性的ないじめを受けるなどの深刻ないじめに遭い、LINEでも”ぼっち”、通信制の高校に通って悪い友達ができて、同級生や先輩から援助交際の勧誘を受けて悩むような、そういう子」。そして「かつていわゆる”パクツイ”(人気のあるツイートを盗用し、お気に入りを稼ぐ)などを起こしたようなレベルのツイッター中高生がゴルスタ層と重なると思っていい」。

「学校で仲間外れにしているような子を呼び出していじめ、その様子をライブ配信するんです。もちろんゴルスタ運営は当初、そういった不健全な使い方をしているユーザーを戒めていったのです。いじめは、ボコボコにするのも脱がすのもあります。彼らの感覚からすれば当然ですよ。大人がいないということはそういうことですが、利用者の中高生からすれば『援交を持ちかけるキモいオヤジがいないから、すごい楽』なわけです。ゴルスタは、いじめる子やイケてる子にとっては、地元の延長かつ、自分が全国レベルで目立てる舞台。いじめられたりイケていなかったりする子にとっては、地元の現実から離れたバーチャルな放課後の居場所だったんです」

ここでマイルドヤンキーなる言葉が出て来ました。登場して長い言葉なのでよく耳にすると思います。ヤンキーとついてますが、いわゆる盗んだバイクで走り出したり、暴力行為やカツアゲをするような生粋の不良と違い、田舎特有の「若者の縦社会」に組み込まれた人達です。つまり地元のコミュニティに依存して生きている人達で、子供時代からの友人との絆を大切にし、地元から動かずに一生を過ごすような人達です。その中でも特に低学歴・低収入の人達がこのマイルドヤンキーの層に合致すると言われています。

記事の指摘にもある通り、マイルドヤンキーは北関東を中心に、大都市圏から離れた地域に多く存在します。私の同級生も多くがマイルドヤンキーとなってます。

彼らは中学時代から偏差値は50代付近、もしくはそれより下の成績で、偏差値40代の地元の高校に通うことで中学以来の交友関係を維持し、大人になってもそのコミュニティでつるみ、SNSでコミュニティを使い、一昔前に流行ったケータイ小説風の小文字多用するギャル語を使ってパチンコの話題を話しています。

彼らは成績も並(以下)なら運動や芸術分野でも並み(以下)であり、勉強に対する向上心が欠落しているため受験という選抜を最初から諦めてしまい、競争のない地元のまったりした社会の中で生きることになります。そのわりには学校の先輩後輩やコミュニティの力関係と言った縦の圧力は絶対で、先輩の誘いは断れない等の掟があります。

彼らは自分自身にウリがないことを十分認識しているため、奇抜なところで個性を出そうとします。言い換えれば勉強や運動ができない分「個性」に存在理由を求めたがるということです。例えばクルマ(だいたいミニバンかVIPカーと呼ばれる大型セダン)をマジョーラでオールペンしたり、車内によくわからないアクセサリーを並べたり、ごってごてのアクセサリーを身につけたりします。
ファッションもシンプルなユニクロよりは柄ものが多いしまむらを好み、夏場はサンダルしか履きません。この傾向はベッドタウン化していない(引用記事が言うところの)鉄道空白地帯が増え、東京への通勤が苦痛になる埼玉県北部以北から顕著になります。

東京に通っている人、もしくは東京から引っ越してきた人が多い地域ではマイルドヤンキーと東京の生活様式を残す人達が入り乱れるカオスな状況になります。特にショッピングモールではその傾向が強まり、観察していると飽きません。一時間くらいは。

マイルドヤンキーはルールにもルーズです。北関東をクルマで走るとよく分かります。特に交差点では愉快なマイルドヤンキーの姿を多く見られます。

赤信号を回避するために角地のコンビニの駐車場を横切ったり、右折しようとする前のクルマを右から抜いたり、歩行者待ちで止まっている左折のクルマの後ろから左折で抜かそうとするなど、よく免許取れたなと思ってしまうドライバーが目白押しです。

他にも渓流でバーベキューしたいがためにすれ違うのもやっとな山道にミニバンを止めて川の中にピクニックテーブルを立てる(もちろん渓流内でのバーベキューも山道の駐車も禁止)、平気で飲酒運転をする、そもそも免許も持ってない等、とんでもない「バカ」が大量にいます。

バーベキューなどは仲間同士、子供なども連れてきてやったりします。彼らの子供はこのような大人に囲まれ、このような環境に慣れて育つため、自然とルールを守れない大人に育ちます。つまり、マイルドヤンキーが再生産されていくのです。

しかし、彼らが無法かといえばそうではありません。コミュニティの掟、すなわち学生時代からの力関係には従順な事を見て分かる通り、ルールを守ろうと思えば守れるのです。常識と逸脱する行為を行うのは「ルールが分からない」「認識ができない」ためであって、決して遵法精神に乏しいなどというわけではありません。

引用元の記事にはこうあります。

「悪いことをしたらアカウント凍結、でも反省文さえちゃんと書いたら許してもらえて凍結解除というシステムは、中高生にとっては『わかりやすくていいじゃん』と受け入れられる。そんなシステムは『宿題なんてやっていかなくても、反省文を書けば許してもらえる』という感覚の一部の子どもたちにとっては当たり前のことで、サービスとしては上手いとさえ思う。マイルドヤンキーをうまくごっそり囲い込むノウハウを怖いくらい持っている

この点だけ、私はちょっと違うと感じました。

「マイルドヤンキーをうまくごっそり囲い込むノウハウを怖いくらい持っている」というのは同意見なのですが、それは「反省文」というルールが分かりやすいのではなく、彼らの「力関係に従属する」特性をよく見極めているからです。

彼らは従うべき力と従わなくていい力を知っています。今の先生は怒りません。だから『宿題なんてやっていかなくても、反省文を書けば許してもらえる』と考えます。勉強は苦手だからやりたくないし、学校の試験じゃ俺という人間を測れないぜ、ということです。

ゴルスタはゴルキャスという機能で「個性」をアピールできるのも人気の一つだったそうです。一時期バイト先で不謹慎な行動をとってTwitterにアップする行為が流行りました。「バカッター」と呼ばれるこれらの行為も、自分が所属するコミュニティに向けて「俺(私)ってこんなに面白い!」というアピールをしたいがための行動でした。記事によればゴルキャスはこのような勉強や運動で活躍できないマイルドヤンキー層の自己顕示欲や承認欲求を満たすツールとして人気を博したようです。

そして彼らはそんな「仲間」から外されることを極端に恐れます。それは学校を卒業して何十年とコミュニティの人間関係が持続されることを見ても理解できます。そしてゴルスタをBANされることは、コミュニティからつまはじきにされるということです。

つまり彼らにとってゴルスタ運営とは完全服従すべき相手であり、コミュニティから追い出されることに比べれば反省文くらいちょろいというわけです。

運営者も子供達を従わせる快感に酔っていたようですし、運営もそのような権力に有頂天になっていたわけで、これもお里が知れる話です。利用者のマイルドヤンキー予備軍の子供達と似たようなメンタリティの持ち主だったのでしょうね。実際、マイルドヤンキー達を多く収容する労働集約型ブルーカラーの世界ではいまだに立場を分からせる高圧的なマネジメントが使われています。時代錯誤なカンジがしますが、彼らのような人間を従わせるには力と立場で分からせるのが一番効率が良いのです。

この問題をSNSで見かけて1984年を想起するような都会にお住まいの高学歴の方には縁が無い世界であり、それゆえ動揺も大きかったと思われますが、北関東ではありがちな日常ですのでご報告させていただきます。

あわせてこちらの記事も読んでいただけると幸いです。

【社会】田舎の新成人が暴れるワケ

(文/赤蟹)


団長

「てらどらいぶ」管理人。 ゲーム開発のディレクター、動画配信サイト管理人のプロデューサーなどを歴任。 心のゲームは「ウィザードリィ」と「ザナドゥ」。ドラクエとFFならドラクエ派。

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