実家のお宝?シリーズ1 トンネルズ&トロールズ


実家にいるので、秘蔵(?)の懐かしい80年代アイテムを自慢しようと思います。

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第一弾は、「トンネルズ&トロールズ」です。使い込まれて表紙がよれよれ。紙の変色が30年という年月をカンジさせます。

「パズル&ドラゴンズ」のおかげでTRPGを知らない世代にも「なんとか(名詞)&なんとか(名詞:だいたい種族名)」というフレーズが浸透し、しばしばソシャゲのタイトルなどに使われるようになりました。

最近の人にはこれら「なんとか&なんとか(なんとか×なんとかでも可)」はパズドラのパクリと思われがちですが、パズドラというタイトルも「ダンジョンズ&ドラゴンズ(以下D&D)」という世界初のRPGをもじったものです。

D&D自体は20年前にもアーケード用のベルトアクションゲームとしてリリースされたので、TRPGをやらないゲーマーも知っているかもしれませんね。

そんな「なんとか&なんとか」をいち早くフューチャーしたのがこの「トンネルズ&トロールズ(以下T&T)です。

D&Dに比べると恐ろしく簡略化されたシステムと、なにより安価な文庫でリリースされたという特徴があります。赤箱が買えないキッズたちが手にとりやすかったため、ファイティングファンタジーとならんで「最初のTRPGシステム」として購入した人も多いと思います。

当時はゲームブック全盛期であり、TRPGはゲームブックからステップアップし、自分でゲームを作れるという魅力がありました。特にT&Tの戦闘はキャラクターのアクションを個別に解決する必要がなく、敵味方の全戦力を比較して負けた方が一方的にダメージを被るという単純明快なシステムを採用しているため、子供にも理解しやすかったのです。

T&Tほどヒットダイスを回すゲームも少なく、モンスターの脅威度もヒットダイス数で直感的に理解できるという点で、セッションを盛り上げやすく初心者でもすぐになじめるのでシステムが指定されていない、若年層が集まるコンベションには最適なルールです。

欠点は、単純なため遊び込むとダイスパワー依存のゲームシステムに飽きてくるのというところでしょうか。

真ん中のビキニアーマーギャルが描かれている本は「モンスター!モンスター!」という、T&Tのルールそのままにモンスターとなって暴れまくれるルールです。モンスターとなって遊べるというのも画期的なのですが、この本の真骨頂はモンスター図鑑として使えるところでした。

当時は現在のようにサブカル出版社が競うようにモンスター資料集をリリースするような状況でもなく、ファンタジー好きやゲームマスター志望のキッズはモンスターの情報に飢えている時代でもありました。そんな中で多くのモンスターのデーターが掲載されている「モンスター!モンスター!」は貴重なモンスター図鑑になったのです。

まあ、実際に遊んでみるとよりダイスパワーに依存し、卓上がダイスまみれになるという恐ろしいものでしたが、強力なモンスターとなって一方的に人間をボコれる爽快感は、21世紀に入って「龍が如く」で実現される「圧倒的強さで雑魚をぶちのめせる」コンセプトの登場まで待たなければなりませんでした。

そういう意味で、「モンスター!モンスター!」は時代を先取りしていたとも言えます。そのため、プライドが高くプレイヤーと競い合ってしまうようなゲームマスターには「モンスター!モンスター!」のマスタリングは難しいのです。
「モンスター!モンスター!」のゲームマスターに求められるのは、モンスター(プレイヤー)と互角に渡り合える勇者を立ちはだからせ、ギリギリのバトルを楽しむようなシナリオを用意することではなく、数十人束になってもかなわない貧弱なヒロシ君を大量にPOPさせことごとく一掃させる事であり、「豪快に負けてやる」という潔さと寛容さこそが要求されます。
そんな聖人になれないマスターなら、同じくモンスターを用意してマスターオブモンスターズやラストハルマゲドンのようなシナリオを用意するしかないのですが、やっぱりモンスター!モンスター!は対人(?)蹂躙プレイの方が楽しいですので(偏見)。

 

T&Tはゲームブック文化の延長上にあったシステムなので、ルールをそのままゲームブックに転用することができました。

特に初期に発売された「傭兵剣士」と「カザンの闘技場」はT&Tプレーヤーならずとも手に取った人は少なくないと思われます。
T&Tがリリースされた当時は、ウォーロックというゲームブックの専門誌が存在していました。
Wikipediaによると、この雑誌はファイティングファンタジーシリーズへの誘導を目的にした雑誌でしたが、ソロアドベンチャーにも転用できるT&Tが登場するとT&T関連の記事が増え、その流れからTRPGを取り扱う雑誌になっていったようです。
私がウォーロックに触れたのはT&Tリリース後だったので、ウォーロック=TRPGの雑誌というイメージが強かったのですが、当時はPCゲームもファミコンゲームもなんでもゲームブックにされていました。

一方、この頃にはD&Dのシステムを使ったTRPGリプレイの元祖「ロードス島戦記」もコンプティーク誌上で連載され、CRPG(コンピューターRPG)ユーザーとTRPGユーザーの融合が進められていました。しかしコンプティークは子供が買うにはえっちな内容だったので、ロードス島戦記の存在は小説として再編された後に知った人の方が多いかと思います(私もそうでした)。

ゲームブックとTRPGをつなぐ存在とも言えるT&T。その後日本独自の拡張ルール「ハイパートンネルズ&トロールズ」がリリースされたり、2006年にはおそらく唯一の商用TRPG雑誌「Role&Roll(このタイトルもD&D以来の「なんとか&なんとか」パロディですが)」から第七版が発売されたり、今年に入ってまさかの完全版(しかもボックス!)が発売されるなど、1975年の発売以来40年にわたりアナログゲーマーに愛され続けてきたゲームです。

でも、T&Tといえば文庫サイズであるべきというオールドゲーマーからすると、大判になったりボックスになったりするのは激しく違和感を感じてしまいますね。

どんな時代でもキッズに愛されるリーズナブルなルールでありつづけてほしいものです。パズドラ人気でうっかりT&Tを買ってくれるキッズもいるかもしれませんし(?)。

(文/団長)


団長

「てらどらいぶ」管理人。 ゲーム開発のディレクター、動画配信サイト管理人のプロデューサーなどを歴任。 心のゲームは「ウィザードリィ」と「ザナドゥ」。ドラクエとFFならドラクエ派。

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