【セガサターン生活】リアルタイムデートが「楽しめない」ROOMMATE


翌日、お昼過ぎから自動車の名義変更等々の予定が入っていたのに、デートの約束をしてしまったんですよ。

井上涼子嬢と。

用事を済まして一服している最中に「あっ!」と気づき、慌ててサターンを起動。

時計の針はすでに15時を回っていました。急いで0待ち合わせの植物園へと向かいます。

涼子ちゃんは激オコで帰ってしまったでしょうか?
…まあ、涼子ちゃんは居候なので帰るにしたって主人公の家に戻るだけなんでしょうけど。

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涼子ちゃん、約束に2時間ほど遅れてしまいましたが、健気にも入口で待ち続けてくれました。

なんていい娘だろう! 私なんて連絡もなしに30分遅れたら確実に帰りますけどね!

そんなわけで、年下のJKに多大な迷惑をかけつつデート開始です。

しかし、最初はいい娘だなぁ、涼子ちゃん(巨乳だし)…などとヴァーチャルデートを楽しみに思ってましたが、その気持ちはほどなく粉砕されることになります。

当時のギャルゲーのデートシーンは、先発の大ヒット作「ときめきメモリアル」に準拠したものがほとんどでした。
フローにすると、こんなカンジです。

 

1:出会いの挨拶(好感度によってメッセージが変わる)

2:選択肢を選ぶ→女の子が反応する

3:出会いの挨拶(好感度によって変わる)

(ゲームや状況によってによっては2:に戻る)

4:お別れの挨拶(好感度やデート内容によってメッセージが変わる)

 

一連の流れで使われるテキスト量はせいぜい1000文字程度。時間にして5~10分程度です。

しかしROOMMATEが発売された97年~98年は、「かまいたちの夜」から始まったデジタルノベル式のアダルトゲームがPCで流行、猖獗を極めた時期でした。ストーリーが重視された作品も多く生み出され、後にライトノベルやアニメに大きな影響を与える作品も数々生み出されました。

ノベル式のゲームは文章を読ませてナンボなので、1シーンあたりのテキスト量も膨大となります。1000文字程度でデートが終わるコンシューマーの美少女ゲームなんて比べものになりません。

その二つのフィーチャーが合わさったら最強にみえるのか。ROOMMATEはそんな前衛的な実験に挑んでいます。

 

では、そのプロセスを見てみよう。

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植物園では現在スタンプラリーが開催されており、各エリアのスタンプを集めると景品がもらえるとのこと。植物大好きな涼子ちゃん、やる気満々です。
なお、本ゲームはデートスポットは涼子ちゃんが決めるようです。プレーヤーはスケジュールを確認して行くかどうか決めるだけです。

まずは花樹園。ここでは涼子ちゃんが大好きなさるすべりの木の話で盛り上がります。

おもに涼子ちゃんが!

この後、さるすべりにまつわる思い出やさるすべりがなぜ百日紅と書くのか、そしてさるすべりの花の色についての蘊蓄をひたすら聞かされます。

主人公の返事も「うん」「へぇ」と味気ないため、ただひたすら涼子ちゃんがしゃべりまくっているような印象を受けます。おそらく主人公はあまり植物に興味がないのでしょう。この後、10分ほどさるすべりトークを聞かされるハメになります。

普通のギャルゲーなら1デート終わっている時間です。これで終わりかなと思いましたら、考えが甘すぎました。

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次はフードコートでかき氷をいただくという流れに。まあ、夏ですしね。いいですね。

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かき氷を食べながら、涼子ちゃんの家族の話。弟がベースボールの本場アメリカに行って、野球にハマったという話を聞かされます。本作から始めた私は涼子ちゃんの家族構成がさっぱり分からないため、メッセージを読むふりをして彼女のふくよかな胸部を眺めることしかできません。

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ここでも涼子ちゃんの蘊蓄が炸裂します。これが長い長い。しかもスキップできないために、延々と豆知識を聞かされるハメになります。メッセージウィンドウの向こうのおっぱいにむけられるまなざしも虚ろになっていくこと間違いなしです。

余談ですが、主人公のセリフもスキップできません…

ここでも10分ほど、彼女の話を聞き続けることになります。

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フードコートのシーンが終わって一安心すると、次はバラ園だと宣告されます。話が長すぎてすっかり忘れていましたが、今はスタンプラリーが開催されているため、全てのエリアを回らないといけません。

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言うまでもなく、ここでも植物大好き涼子ちゃんのバラにまつわる長話が始まります。

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ともかくセリフが長すぎて、プレーヤーはカチカチとAボタンを連打しがちになりますが、不意に選択肢が登場することもあり、油断なりません。漠然とボタンを押し続けていると、問答無用で一番上の選択肢を選んでしまうことになります。

相変わらず「ふうん」「へぇ」と聞いているのか聞いていないのか分からない反応をする主人公ですが、時折涼子ちゃんが将来への不安をもらすと、社会人としての心構えや社会に対する達観した見解を話すこともあります。伊達に都内に一軒家を構えているわけではない意識の高さですが、結果として主人公の仕事はいったい何なのか、謎が深まることになりました。

なにしろ平日の昼過ぎにJKとデートできるくらいヒマな仕事です。自営業かフリーランスでないと許されないスケジュールの緩さです。

羨ましいですね。

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もちろん、バラ園ごときで終わるはずがありません。次は日本庭園にGOです!(やけくそ)

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デート開始からここまでかかった時間は30分。途中、気分が萎えて10分ほど休憩したので、トータルでは40分近くになっています。途中「ゲームばかりやってると人間性が豊かにならない」と全力でプレーヤーを殺しにきたり、長話聞かされてるわりには報われない気分になってきます。BGMが単調でずっと変わらないことが退屈さに拍車をかけます。

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竹林では到着するなりスタンプをポン。さすがにライターも疲れたのかな…と思ったら、スタンプ後に竹に関する蘊蓄がはじまりました! 完全に奇襲を受けたカンジです。動揺を隠しきれないプレーヤーをよそ目に、竹トークを叩き込んでくる涼子ちゃん。

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宣戦布告もなしにドイツ軍に攻め込まれたポーランドの気分です。

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終点はフラワーショップ。スタンプラリーの景品は「球根」でした…。

「こういうのいいよね」みたいな事を言ってますが、もうちょっとラクに球根貰いたかったです…。

しかしアメリカ住まいの涼子ちゃんは、検疫の関係もあってもらった球根を持ち帰るわけにはいきません。「私を忘れてほしくなかった」と前作主人公に鉢植え類を預けた気持ちを吐露してくれますが、前作未経験なので、彼女の主人公を慕う気持ち健気さは理解できるものの、シンパシーも今一つです。

完全続編であり、井上涼子というキャラを軸にメディア展開している作品であるため、彼女を好きになれるユーザーだけが遊べるゲームになってしまうのは仕方ないところです。
とはいえ、なぜかROOMMATEシリーズは各作品によって涼子ちゃんのデザインが違うのはノーグッドではないでしょうか。第一作はちょっとロリっぽくて苦手、第三作は悪くないけど好みではない…というカンジです。特に「涼子 in Summer Vacation」の涼子ちゃんは季節柄スタイル抜群なカンジで目の保養にもピッタリです。第三作ではスレンダーな体型に戻っていますが。着やせするタイプなのでしょうね。

最後は友達から電話がかかってきたので行かないといけないという理由で涼子ちゃんと別れたので、長い蘊蓄を聞かされたわりに報われないカンジでデート終了。途中の選択肢で結末が変わるのかもしれませんが、前述したように長話の途中途中で唐突に選択肢が出てくるので、タイミングを覚えないと反応できないかもしれません。

まあ、これだけデートイベントも長いと覚えきれないような気がしますが。

彼女は蘊蓄好きという裏設定もあるようで、ファンディスクである「涼子のおしゃべりルーム」ではいかんなく蘊蓄を披露してくれるようです。もう彼女を歩くWikipediaとしか見れなくなるでしょう。

しかし…蘊蓄はいいとしても、もうちょっとセリフを推敲できなかったのでしょうか。パッションが命じるままに文章を書くのは良いのですが、その後推敲し、不要な部分は削っていかないと読んでいる方も疲れます。メッセージスキップができないとなればなおさらです。
デバッグしている時にイヤならなかったのでしょうか。制作者全員涼子ちゃん大好きで、30分に及ぶデートシーンのデバッグも苦にならないぜ!というカンジだったのでしょうか。それはそれで理想的な制作現場と言えますが、しんどそうな気がしてなりません。

テキストを書いている人が社内(プロジェクト)でも偉い立場にあって、現場やデバッガーレベルでは文章の推敲・削減を提言できなかった可能性もあるのかなぁと邪推してみたり。

いや、あくまで推測ですけどね。

それにしても、このデートシーンは厳しいですね。キャラクターデザインが好きなだけに遊び続けたい気持ちは高揚しまくりなんですが、またこのデートをしないとならないのかと思うと、続きを遊ぶ気もリトライする気にもなりません。

でも、好きな人には好きなのでしょうね。でも、ラブプラスのデートシーンでも長いと思ったくらいの私ですので、ちょっとゲームコンセプトが合わなかったようです。とても残念ですが…。

そういえば、ラブプラスの寧々と結婚した方は、今どうしているのでしょうね…。

(文/赤蟹)


団長

「てらどらいぶ」管理人。 ゲーム開発のディレクター、動画配信サイト管理人のプロデューサーなどを歴任。 心のゲームは「ウィザードリィ」と「ザナドゥ」。ドラクエとFFならドラクエ派。

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