【WELQ問題】容赦なくガセネタぶちこんでくるSEOライティングなんて滅んでしまえばいいのだ


ss071

画像引用:WELQ

数日前から大炎上していたDeNAのヘルスケア・キュレーションサイト「WELQ」が本日になって一時閉鎖となりました。

炎上の理由は様々ですが、記事の信憑性の低いどころか完全にガセネタや嘘を平然と掲載していたり、他メデイア、ブログから記事をパクったり、そもそも薬事法に違反しているなど、Webメディア全体の信用失墜に繋がるようなマネをしていたこと、ネガティブキーワードでのSEOを徹底してやっていた事などのモラルの問題、なにより零細Webメディア運営者(例えばうち)でもやってはいけないと分かるボーダーラインを、DeNAという日本屈指のインターネットサービス企業が軽々と飛び越えていったという衝撃的事実にネットユーザーが騒然となった…というところでしょうか。

要する凄まじくダーティな運営をしていたわけで、一部上場企業、しかも所有にあたり清廉な事業を営んでいることが条件である野球球団を持つ大企業がやるような事ではありません。

WELQ事件で特に問題視された、信用性が低い記事の量産体制について、Bazzfeedが分かりやすい記事を掲載していたので紹介します。

DeNAの「WELQ」はどうやって問題記事を大量生産したか 現役社員、ライターが組織的関与を証言(Bazzfeed)

要点をかいつまむとこうです。

  • 「誰でも書けるキュレーションサイト」ということで記事内容を担保しない
  • しかし記事構成やSEOキーワードについては運営側から指示されていた
  • それらの記事はクラウドソーシングによって量産されていた
  • 登録した記者に医療の専門性や専門知識は求められていなかった
  • 記者達に運営側から「参考にするサイト」として遠回しな剽窃の指示がされていた
  • 安価な量産記事をさらにSEOライティングの専門家がリライトして仕上げていた
  • 他のDeNAのキュレーションメディアも同様の手法でSEOがほどこされている

問題発覚以前からささやかれていた様々な指摘がどストライクだった上に、それどころではなかったというアウトな事実をつまびらかにしています。いい記事書きますね、Bazzfeed。

バイラルメディアなるものが流行し出した時も記事の剽窃などが問題視され、WELQと同じく一部上場企業が運営する某メディアのプロデューサーが「バイラルはゴミじゃねぇんだよ」と怪気炎を吐いたことも記憶に新しいところですが、今回の件でオリジナリティも信念もなく、ただバズと検索結果のみを追求するバイラルもキュレーションもゴミであって、それは上場企業が運営しようがどうかは関係なく、むしろ大資本を投下して記事を量産したり、SEOをしてくるのでより被害と問題が拡大する傾向にあります。困ったものですね。

WELQの問題点については、「てらどらいぶ」よりも詳しく分析しているサイトがあるのでそちらをご覧頂くとして、個人的にWebメディア、特にバイラルやキュレーションなどと言われる記事大量生産型のメディアとその体制について思うことを書きます。

 

結論から言わせてもらうと「SEOライティングは今すぐ滅べ」ということです。

Bazzfeedの記事にもありますが、WELQはキュレーションメディアを自称しながら、ライターには執筆方針を指示、指導し、なおかつ最後はSEOライティングのプロフェッショナルがフィニッシュするというサイクルでまわっていたようです。

今回の騒動を受けて、WELQに寄稿していたライターが暴露記事を書いています。

元welqライターからの告発(クラウドワークス批評「労働組合つくったろか」)

WELQはキュレーションメディアなので一般投稿者の記事によって構成されていると明言していましたが、実際にはWELQの中の人によって厳格な「指導」が行われた実態が明らかにされています。

しかも「指導」の内容は、WELQがテーマとしていた医療やヘルスケアなどへの指摘ではなく、キーワードがどうとかSEO上の問題ばかりだったという点が興味深いところです。

要するにWELQは、はなから医療やヘルスケアをマジメに取り扱うつもりなどなかったということです。

WELQといえば、10月25日に「死にたい」と言うキーワードでトップ表示されていた同サイトの記事内の広告を取り下げた(ただし記事自体は取り下げない)ことでも話題になったようです。

「死にたい」検索トップの「welq」の記事、DeNAが広告削除 「不適切」指摘受け(ITmediaニュース)

記事によれば、検索トップに表示されていた記事はいわゆる記事広告で、当該記事より転職サイトのアフィリエイト広告を掲載していたようです。

この時点ですでにWELQはガセネタの宝庫と認識され、記事内容の問題点がたびたび指摘されるようになっていました。しかし、DeNA側はWELQはキュレーションメディアであり、文責は投稿者にあるというスタンスを取り続けていいました。
事実「死にたい」の記事についても、以下のような弁明をしていたようです。

DeNAによるとwelqは、会員登録した投稿者による記事と運営側が作成した記事で構成されており、この記事は会員による投稿記事だという。

蓋を開けたらこの弁明も大嘘だったわけですね。もはやコンプライアンスを疑われても仕方ない話ですよ。

ネガティブでセンシティブなキーワードもなんのその、全ては記者の責任ということで平然とガセネタ記をぶっこむという、普通の人なら「考えてもやらない」事を平然とやってのけたところがWELQのすごいところです。これを球団オーナーの一部上場企業がやってのけちゃうところがインターネッツ業界の黒さであり、大企業が率先して倫理的にアウトなことをやってしまうから、いつになっても山師感が消えないのだろうと、元中の人としては思わなくもありません。

 

上記したように、WELQの圧倒的成長を支えたのは、徹底したGoogleのキーワード分析とそれを元にクラウドソーシングで集めた安価な労働力によって量産するシステムです。かっこよく言えばビジネススキームでしょうか。

その量産体制も、SEOに有利になるライティング手法、いわゆるSEOライティング(Webライティング)が徹底され、キーワードが少なかった場合などは「強烈なダメ出し」が入ったとのことです。

実際私もWELQの記事を読みましたが、指示語が極端に少なく、テーマとなる言葉(固有名詞)、検索させたいキーワードを執拗なほど織り込むような書き方で、いまだにこんな書き方しているメディアがあるのかと驚いたものです。

指示語がないと、文章が冗長になって読みづらくなりますが、文中にキーワードが多く含まれていると検索評価は高まるため、多くのWebサイト、WebメディアがこのSEOライティングという手法を導入しています。
文章の体裁や読みやすさよりも「検索されやすさ」と重視した、まさにインターネッツ時代のライティング手法です。それがバイラル時代を迎え、記事の内容よりもSEOの観点から有利かどうかだけが問われるようになり、DeNAが禁じ手を繰り出して猖獗を極めたという流れになったのでしょう。

以前からあるメディアなどは、記事の内製、もしくは専門の外部記者によって掲載記事を作っています。そんな彼らもSEOを意識したライティングが求められたわけですが、スパム判定による「グーグル八分」などを警戒し、キーワード数よりも記事内容を重視したライティングへと軸足を移しつつありました。

そんな中でバイラルメディアなるものが日本に上陸し、クラウドソーシングにより安価でライティング作業を発注できる仕組みができると、専属スタッフや専門のライターがいなくても、大量に記事を調達することが可能となりました。
多くのバイラルメディアは圧倒的成長を果たすためにクラウドソーシングで記事をかき集めますが、肝心の運営スタッフが少ないのか、寄稿された記事の確認もせずにアップするようなところも少なくありませんでした。結果、リテラシーの低い「外部記者」が他ブログの記事を剽窃していたり、引用しかない記事をアップしたり、チェックもせずに低品質な記事を掲載をするなど、編集方針とクオリティ管理が疑われるような事案が多発。そのためバイラルメディアといえばゴミという認識が多く知れわたることとなりました。

実際、これらのサイトにタイトルに釣られてアクセスしたものの、引用だらけの無内容な記事だったり、どこかで見たような感動的な作り話だったり、内容がでたらめだらけで不愉快な気分になった人も少なくはないはずです。

しかしWELQは、こそれら凡百バイラルメディアとは違い、クオリティの維持管理は徹底していたようです。残念ながら記事内容ではなく、SEO的なクオリティだったわけですが。

WELQに限らず、おそらく他のメディアも似たり寄ったりでしょうが、WELQほど徹底したSEO対策をほどこしたところはそう多くはないでしょう。
結果、ヘルスケアに関するキーワードで検索するとWELQのガセネタがトップに出てくるという酷いインターネット風景が展開されていたわけですが、医療知識もないライターと運営が書いたガセネタを吹き込まれ、PV数を考えるとそれなりに信じちゃった人もいたんだろうなと思うとWebメディア運営者としては胸が痛くなります。

インターネットの仕事をやっていれば、不自然なキーワードの多さと指示語の少なさに「ははぁ~ん」となるでしょうが、WELQが狙っているターゲット層は、そんな目端の利くインターネット界隈の小うるさいオッサン/オバサンたちではなく、健康や美容への意識が高い、なおかつ書いてあることを鵜呑みにしちゃう、心がキレイなお嬢様たちです。

検索結果を10ページくらいまで読み込んで情報を精査しようとする粘着質なインターネットおじさん(おばさん)たちと違い、彼女はだいたい1~2ページくらいまでしか見ませんし、上位に表示されているページほど信頼できるという、人間の善意をそのまま受け取ってしまっていたかもしれません。気の毒な話です。

SEOの悪用といえばかつては邪なアフィリエイトサイトの十八番だったわけですが、そんな手法を大企業であるDeNAがやってしまう世も末感はハンパないです。もしかしたら、そのようなアフィサイトでSEOを極めた人間がDeNAに入って、これらキュレーションサイトのSEOを担当していた可能性も高いです。実際、私の勤め先でも法的に極めて黒いサイトを運営し、そこで培ったSEO手法を買われて在籍していた人もいました。そんなアウトな人材よく雇えるなと思いますが、弊社に限らずネット業界では比較的よくある話です。

Googleの検索エンジンは人工知能を得て格段に賢くなりましたが、実際にはスパムサイトなのかどうかの判別を明確にできるほど万能ではなく、コンテンツ内容を見て検索結果を決めていると謳ってはいましたが、実際にはWELQのような、昔ながらのSEOライティングを施したサイトがトップに躍り出まくるという悲しい状況が露呈してしまいました。

東洋経済の本田雅一氏の記事には、このようなやり方を許したGoogleにも責任があると言及しています。

「炎上」が暴いたDeNA劣悪メディアの仕掛け(東洋経済オンライン)

今回の問題は、世界でもっとも多く使われており、もっとも洗練されているとみられている検索エンジンでさえ、簡単に騙されて誤った情報を上位に集中させることが可能であることを示している。しかも、人の生死や健康に関わる情報でさえも、である。

検索エンジンは、インターネットに点在する大量の情報への動線であり、道しるべである。だからこそ、グーグルはズルをする情報発信者を除外する措置を常に行ってきた。その手法は、”グーグル八分”と呼ばれる「無実なのに検索対象から外され、復帰の手立てがない」状況を生み出し、時に小さくも新しい事業の芽を摘んでしまうこともあった。

ところが、その一方で検索エンジンを騙すノウハウを持ち、短期間に大量のコンテンツを投入する事業者が出現すれば、あっという間に情報閲覧順位が操作されてしまうことも証明された。生死や健康にかかわる問題への情報操作にさえ、グーグルが無力な存在であることが明らかになった事件とも言える。

ただ、個人的には、この指摘は少々酷ではないかと思います。

引用内にもありますが、かつては「グーグル八分」という、なんらかの理由で検索結果から外されてしまうことがありました。その原因の一つが前述したスパム認定です。しかし、スパム手法は「洗練」されてSEOライティングという形で生き残り、Googleも有効な対処ができずに今回のような事件が起きてしまいました。

しかし、これはGoogle自身もグーグル八分の状況を好ましく思っておらず、排除の強度を弱めてコンテンツ内容で判断するようなアルゴリズムを構築していった結果だと考えます。

欺瞞くさいSEOライティングがこれまで許されたのはGoogleの優しさであり、そこにつけ込んだDeNAがどう考えても悪いのです。それをGoogleの責任にしてしまうのは少し乱暴ではないでしょうか。

 

そんな、今のネットメディア時代を生き残るために必要なSEOライティングですが、手法が全然わからない人でも簡単に検索エンジン上位に入るページを作ることができます。

そう、すでに上位に入っている記事をパクるのです。

検索エンジンの上位に既に入っているということは、優良な情報を掲示しているサイトとGoogleがお墨付きを与えているのと同義です。なので、そのまま掲載し、なおかつパクリ元のサイトやブログよりもSEO対策が強ければ、元記事よりも上位につくことも可能です。

しかし、丸パクリだと著作権に抵触するので、語尾などを変えるなどしてオリジナルコンテンツテイストを醸し出すなどのテクニックが必要となります。語尾だけ変えれば記事の内容も変えずに済みますし、剽窃で訴えられることもないので安心という理屈のようです。常識的にはだいぶヒドイ考えですが、これが許されているのが現在のWebメディアの現実であり、それを大企業であるDeNAがやっていたということがビックリなのです。だって普通に犯罪ですからね。

DeNAはこのマニュアルで、記事の執筆時に「参考」にすべきサイトを案内している。本文をそのままコピペするのは禁止し、「文章が重複しないようにご自身の言葉でリライトをお願いします」と、引用ではなく、わざわざリライトを指示している。

上記のBazfeedの記事からの引用ですが、それにしても「文章が重複しないようにご自身の言葉でリライトをお願いします」なんて指示をよく出せたなと。なぜこんなアウトな指示が他方に流出しないとなぜ信じたのでしょうね? DeNAの中の人はみんな純真なのでしょうか? とりあえずパクられた人達はどんどんDeNAを提訴すればいいと思います。

 

最初に書いたように、私はGoogleの検索アルゴリズムが進化して、欺瞞しやすいキーワード数とか被リンク数とかではなく、コンテンツの内容で順位が決まる時代にはやくなってほしいと思っています。

全てのSEO対策がダメというわけではありません。検索エンジンの評価は表示速度やインターフェイスの使いやすさ、コードの内容など多岐にわたり、SEOライティングはあくまでその一つに過ぎないからです。

ユーザーメリットを考えれば表示速度やインターフェイスの向上はむしろ成すべきことであり、そのような配慮をしっかりしているサイトが上位に表示されるのはむしろ好ましいことと言えます。

しかし、剽窃の元になったり低品質な記事を量産するきっかけとなるSEOライティングはそろそろ滅ぶべきです。

正直言えば、うちの記事もまったくSEOライティングを意識していない…とは言えません。指示語で代用できない言葉はどうしても多くなりがちですし、Googleの上位に表示されてアクセスが増えればいいなと思う気持ちがないといったらウソになります。しかしそれでも、訪れてくれたユーザーに少しでもいいものを持ち帰ってほしいという気持ちは忘れていません。

しかし現状としては、内容の良し悪しよりもGoogleの検索アルゴリズムを逆算し、適切な比率でキーワードを入れた記事のほうが評価されやすいのは、良心的なメディア運営を心がけている側からしても残念なことであり、このやり方がまかり通るかぎり、第二、第三のWELQが生まれかねません。むしろ今回の事件を受けて、WELQのやり方を真似ようとする業者も少なからず現れるでしょう。

本田雅一氏のようにGoogleの責任だとは思いませんが、これらのノイズを排除できる仕組みを早く調えてほしい、とは思います。

SEOライティングが撲滅された世界で、うちのサイトがどうなってしまうのかは分かりません。でも、パクリやSEOありきのからっぽな記事が大量生産される今のWebメディアがインターネットという文化の質をあげるとは全く考えられませんし、「てらどらいぶ」もそんなメディアの一つだと思われているなら、検索結果から消えたほうがマシです。悲しいですけど。

もちろん、消えないように「てらどらいぶ」運営は頑張っていく所存であります。

なお、WELQが件の「死にたい」の記事からアフィリエイトを削除した日は、先日亡くなった私の父が倒れた日でもあります。
伝聞形だらけだったのは、当日死にかけていた父が心配で、死にたいなどとゲスな言葉でSEOをしていたバカサイトの事なんて知らなかったためです(Twitterでちらちら見かけてはいましたが)。

肉親を失い、改めてヘルスケア・キュレーションサイトを名乗るWELQが死だの病気だのでSEOをほどこし、でたらめな情報を流していた事実に怒りが収まりません。そんなに「死にたい」なら、自分たちが(以下自粛)。

(文/赤蟹)


赤蟹

スベスベマンジュウガニ並みに猛毒を吐きまくる赤い蟹の人。「てらどらいぶ」の裏ボス。サイト管理とコーディング、デザインなどを担当。文章を短くできないのが悩み。

コメントをどうぞ

内容に問題なければ、下記の「コメントを送信する」ボタンを押してください。