いつの間にか長谷川豊が再始動していた件

「あの」長谷川豊が年明けに「再起動」していました。

まあ、41歳のいい大人がいつまでも無職というわけにもいかないのでしょうから、仕事を再開するのは結構なのですが、相変わらず不見識で見当違いのトンデモ論を展開しております。

長谷川氏の発言に顕著な特徴が三つあります。

  1. イシューそのものは間違っていない
  2. 論拠と展開と落としどころが完全にズレている
  3. 間違った結論を力強く断言する

日本のネット言論界には「逆張り」という技があります。他人の結論や常識に対して反対の事を主張することで「鋭い考察をしている」と勘違いさせることができます。そこに「断言力」が加わることで、主張は強さを増し、もっともらしく聞こえてしまう人が続出します。

これら「先鋭的言論屋」は、こうした既存の結論や常識を否定する答えを開陳することで耳目を集める「芸」です。

一時期「常識を疑え」というキーワードが流行しましたが、常識の大半は社会の経験則に基づいて形成されたものです。価値観やライフスタイルの変化で常識は変わっていきます。
そのような常識の変化にいち早く気づいて対応することが「常識を疑え」の真意です。見た目ばかりで中身のない「逆張り芸」とはまったく違う質のものです。

長谷川豊の一連の発言も「医療費削減」という大名目を掲げながらも、「医療費が自己負担できないのなら殺せ」と小学生レベルの「正論」を吐きました。聞いているほうはほとんど知能的にも成熟した大人なので、扇動されませんでしたが、彼のような逆張りに心酔してしまう人が少なくないのも事実です。

実際、長谷川氏はその芸で「殺せ」発言以前はBLOGOSなどに記事提供するなど、ネット論壇において一定の地位を築いていたわけですから、それなりの需要はあったように思われます。

これらを踏まえて、1/1の再起動以降の長谷川氏のおもしろ理論を見てみましょう。
リンク先は、「本気論本音論」です。引用も同ブログの当該記事からのものとなります。

 

電通過労死問題① ~まずは「そもそも自殺者、何人いると思ってんだ?」という視点から~

上記記事も「高橋まつりさんが美人だったからニュースとして取り上げられた」とか「表面化していない自殺も多く、日本は自殺大国である」というところまでは、そこまで間違っていないと思います。

しかし結論としてなぜか日本の教育論に及び、日教組が悪い、子供を守る今の教育が悪いと、電通を批判していたはずが自殺してしまった女性のメンタルを批判するような内容となっています。

私はこのような日本の教育行政の間違いや日教組の方針が自殺者の増加に繋がっているのではないか、と考えている人間の一人です。
実際は「大人を守るため」の表面だけをなぞった教育を受け…「本当は残酷で過酷な社会」に突然22歳で投げ出される現代の子供達が被害者に見えてしょうがないのです。

電通過労自殺の件はどこまでいっても労働環境と社風、そして法令違反とソーシャルな要素が強い。他の過労自殺も似たようなものです。「子供を甘やかす教育」の結果自殺したわけじゃありません。

むしろこんな理論展開しかできない長谷川氏の受けてきた「教育」の方が問題のような気がしますよ私は。

 

電通過労死問題② 「もう日本企業から『会議』なんて下らない風習を無くせよ」

ネット上で「たかが100時間程度で自殺するなんて…」という素直過ぎて将来あるある詐欺に確実に引っかかりそうな人のコメントも見られましたが、んな訳ないでしょうが、と。

そもそも私も大手のマスコミにいた人間ですが、残業が100時間程度で済むんだったら、めちゃめちゃ休んでいる範囲です。そんなもんで普通の人間は心を壊したりしません。絶対。

長谷川秀夫氏の発言を批判しているように見せかけて、100時間労働くらいではなんともないと同じ主張しているところが笑えます。長谷川同士、なにかシンクロでもしたのでしょうか。

単に今回はご遺族が『電通』を相手取った裁判だった、そして、その中で最も裁判の手続き上、訴えやすかったのが「証明できた残業100時間」だったにすぎません。
あれだけきれいな人です。恋愛で何かあったのかもしれない。上司からの暴言や追い込みも多数あった可能性はある。

恋愛問題の線は完全に消えてるのですが、いまさら何を言ってるのでしょう。すくなくともメディアの人間なら、頭の中の事を文章にする前に、既存の情報くらいは精査してほしいところです。

前述の記事通り、長谷川豊は電通の体制を批判しているように見せて、その実自殺してしまった女の子のメンタルやプロパティに原因を求めています。

この後、長谷川豊は「電通の知り合いはみんなやりがいを持っている」「仕事が楽しければ長時間労働も苦ではない」と意識の高い電通擁護らしい理論を展開したあげく、「長時間労働の原因は会議が長いせいだ」と結論づけています。

正しいのか正しくないのかよく分かりませんし、会議を削減しても過労自殺は減らないですよ。
自分で「今回の自殺は労働時間だけの問題ではない」と前提しておきながら「会議を減らせば自殺は減る」という結論に至るのが長谷川マジックです。

メディアの人間として復職するつもりなら、もう少し考察をしっかりやらないとこの先生き残れないような気がします。

 

キュレーションサイトってそもそも「メディア」じゃないでしょ。むしろ見て信じている人がいるという部分に驚きます。

WELQをはじめとした医療系メディアについて批判していますが、完全にお前が言うな状態になっています。

結論から先に言っておくと
『逆にそんなサイト、信じてた人がいたんだ。そっちの方が問題じゃないです?』
で話はお終いです。

ユーザーが内容を信じていたことが問題ではなく、ではなく、SEOを駆使してマネタイズ目的に誤解を招く内容の記事を上位掲載させたこと、医者が監修と掲示しておきながら実際には内容のチェックを行っていなかったこと、著作権を無視したほぼコピペの記事が掲載されていたことなど、本問題の中核は運営者の商倫理のあり方です。

医療(健康)とコンプレックス、そして利殖というテーマは不特定多数のユーザーを引き込みやすいキーワードとなります。それぞれが現代社会で快適に快楽的に暮らしていくために必要な要素であり、誰しもいずれかの要素に興味を抱いているからです。
そこを狙い撃ちしたのがWELQをはじめとして、ここ数ヶ月で次々と更新停止に追い込まれている各医療系ネットメディアです。

そういえばどこかの人も「医信」なる医師団体の理事となり、デタラメな医療関連の発言をしていた人がいました。その人も、個人ブログの文章をコピペして「改行位置が違うからオリジナル」と主張していましたね。

はい。自己紹介乙であります。

 

そして最後に、この記事をご紹介します。

日本人よ、もういい加減目を覚ましてくれ!(政くらべ)

現役世代に対する生活保障があまりにも薄く、うっかり病気にもなれない事は「てらどらいぶ」でも以前取り上げました。

仮に現役世代が長期間就労できない状況になった場合、その経済力をサポートしてくれる選択肢は少なく、最悪資産を処分して生活保護になるまで助けてもらえない状況に陥ります。

一方で老人福祉は充実しており、医療費をはじめとした社会保障費を圧迫しているのは周知の事実です。

負担してる世代に見返りがないという主張についてはおおよそ同意できるのですが…

私は、現状の日本を見ていると、現役世代の負担があまりにも多すぎることに懸念を抱かざるを得ないのである。2016年の最新データによると、今の日本の可処分所得の水準はなんと1983年当時と同水準である。ファミコンが発売された年だ。テレビは2・3万円で手に入った時代である。

今の若者たちはそんな程度の「使えるお金」しかなく、スマホは必須、Wi-Fiは飛ばさなければいけない、今は主流となっている4Kテレビを購入しようとすると、12~15万円はしますよ、というこの時代に生きなければいけない。こんな状況の中、いったいどの若者が「さ、子供を産もうぜ」となるというのか。

例によって少し調べれば分かるようなウソを平然と入れ込んできます。

1983年に2~3万で買えるテレビってありましたっけ? そんな価格だと14インチ以下の白黒テレビくらいしか買えなかったような…

なお、松下電器のテレビの小売価格の推移を見ると、1983年の20インチテレビの価格は21万9千円。実売価格でも10万を下ることはないでしょう。もちろん、これは主力商品の価格なので、インチや機能によって価格差は大きいと思いますが、12万~15万程度の4Kテレビの当て馬としてはちょうどいいグレードかと思います。

なお、4Kにこだわらなければ現在こそ2~3万程度でテレビが買える時代なので、なんにせよ本末転倒です。

このように、取材するまでもなく、「ちょっと調べれば分かる事」すらチェックせず、知識のない脳内で論考をしていくので、キャプションと内容と結論それぞれに修正しようのない齟齬が生じるわけですが、それを過激な断言で乗り切ってきたのが事件以前の長谷川豊でした。

で、騒動の反省をしたかと思いましたが、上記の記事では、

先だって、私の書いたあるブログが多くの非難を浴びたというニュースが流れた。実態は少々多くの方々の認識と異なる部分もあるが、多数のスポンサー攻撃、数十件に及ぶ殺害予告などを受け、私は担当していた全番組を降板する事態に発展した。私はキャスターの降板に当たって、画面上では何の反論の機会すらも与えられることはなく、ただ蓋をする対応だったことに少々悔しい思いもしたが、あんな事態があったとしてもそれでも変わらずに訴えたいことがある。

…などと被害妄想を炸裂させており、依然として前回の炎上の原因をしっかり考証していません。理解のないネットユーザーのせいで自分を仕事を失ったと恨み節を述べていますが、はっきり言って40過ぎた大人の発言としてはどうでしょう。

件の発言を今更世間に詫びる必要はありませんが、自分の行いに対する反省なくして次に進むことはできないわけで、彼の発言の雑さも含めて、年が変わって再起動したわりに何も変わってないのだなと嘆息するしかありません。

あのような事件を起こした以上、今後はネット論壇に活路を見いだしていくしかないように思えますが、この調子でやっていけるようには思えません。

やれやれ。

(文/赤蟹)


赤蟹

スベスベマンジュウガニ並みに猛毒を吐きまくる赤い蟹の人。「てらどらいぶ」の裏ボス。サイト管理とコーディング、デザインなどを担当。文章を短くできないのが悩み。

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