【旅行記】カシオペア「弾丸」紀行(その4・完結編)

今回はいよいよ最終回です。
前回までの旅の記録は、下記リンクをご参照ください。

  1. 【旅行記】カシオペア「弾丸」紀行(その1)
  2. 【旅行記】カシオペア「弾丸」紀行(その2)
  3. 【旅行記】カシオペア「弾丸」紀行(その3)

日付が変わり、青函トンネルを抜けてようやく本州へ。運行プログラムは大幅に遅延して、津軽半島に入った時は午前1時。
前日に津軽海峡を飛び越えたのは11時前なので、14時間ぶりの本州となります。

青函トンネル以南はしばらく北海道新幹線の軌道を走ります。以前は海峡線として使われていた路線ですが、北海道新幹線開通後は貨物列車や、カシオペア紀行のような団体列車以外は通れなくなりました。

軌間違う二つの列車ががどうやって走っているのか不思議ですが、この路線では三本のレールを使うことで狭軌(貨物と団体列車)と標準軌(新幹線)の電車を通しています。三線軌条と言うそうです。

遅い貨物列車や団体列車が新幹線の線路の上を走り続けるわけには行きませんから、途中で在来線に降ります。かつて海峡線との切り替えポイントであった新中小国信号場で津軽線に降ります。

トンネルを抜けたら隣に高架線が見えるなぁと思っていたのですが(五稜郭駅でスイッチバックしているので、客室が進行方向右側になっていた)、こんなカタチで新幹線の軌道から分岐するようになっていたのですね。

暗くてよくわかりませんが、新中小国信号場内です。新幹線路線を降りて津軽線の軌道に入るところです。線形のせいか停止と微速前進を繰り返しながらゆっくりと曲がっていきます。

青函トンネルはすでに在来線が通れなくなっているので、旅客列車として新中小国信号場での分岐を体験できるのは、2月末までのカシオペア紀行と四季島のみとなります。なかなか貴重な体験ができました。snowは相変わらず爆睡していましたが。

津軽半島を縦断して青森駅到着。ここで新幹線軌道内をひっぱってくれたEH800形電気機関車とはさよなら。ここからは普通の在来線となるので、EF81形電気機関車となります。本州側は電化されているのでディーゼルではなく電気機関車なんですね。都会を感じます。

遅れていた運用予定ですが、時間調整のために40分ほどの停車時間を設けられた青森駅でしばらく停車。本来の1:55に出発し時間通り11:52には上野に到着する見込みとなったようです。

青森は北海道よりも大雪で、夜の町を除雪車が走り回っていました。
雪が降っていたおかげか、同じ雪仲間のsnowも覚醒。青函トンネルや新中小国信号場など、それなりに面白いイベントがあったのに、大爆睡していた自分に悔しがっていました。まるでイベント回収しわすれて「あー!」となっているギャルゲーマーみたいです。

青森駅から盛岡駅までは青い森鉄道IGRいわて銀河鉄道というファンシーな名前の路線を走ります。それぞれ北海道新幹線の開通によりJR東日本から経営分離された第三セクターの鉄道です。…なんて言ってますが、この二つの第三セクターを知ったのはこの日初めてなんですけどね。
新幹線の開通で並行する在来線がJRから切り離されているという話はたびたび聞いていましたが、JRも民間企業なので不採算になるであろう路線は維持できないのでしょう。それが良いか悪いかの話は別として。
しかし、両社ともに面白い試みで経営の黒字化を目指しているようで、特にいわて銀河鉄道の方は新駅を設置するなどして五年連続の黒字を達成したとか。JRという巨躯では動きづらいことも、小さく区切ればその土地その土地の需要に沿った経営ができるわけで、需要が生み出せれば黒字化も夢ではないのかも。

こういう展開、「A列車で行こう」ファンとしてはたまらないものがあります。

下北半島の付け根を通り八戸を経由して盛岡へ。この駅間がホント長い!青函トンネルを挟んだ木古内~青森間でも約二時間なのに、青森~盛岡間は二時間半ほどかかります。陸奥あなどりがたし。

4:22分に盛岡到着。予定通り4:32に発車。青森駅、盛岡駅は降雪と、雪によって車窓の可視性が下がっていたため、写真が撮れませんでした。snowは部屋を出て駅名標を撮影していました。その後snowは停車するたびに部屋から飛び出して駅名標を撮影していましたが、そんな彼を見ているとなぜこのカシオペア(紀行)が降車できないのか分かる気がしてきました。

降車させてしまうと、駅構内に鉄道ファンが降りて写真を撮り始めてしまうからです。

一般のお客さんの迷惑になるというより、乗車確認などの手間が多くなること(最低限のスタッフで回しているようだったので)、それによって運行プログラムに支障をきたす可能性があったからでしょう。停車時間も2分ほどという駅もある中で、トラブルを防ぐ手だとしては仕方ないのかなと思ったり。

おかげで私は部屋から出ない口実ができましたけどね(笑)。写真も全部個室の窓からのものです。

盛岡駅の次は一ノ関。この駅間でまたしてもsnowは爆睡。一睡もしない宣言はどうなったのでしょうか。

一ノ関駅に到着。雪は相変わらず降ったり降らなかったりだったのですが、青森を抜けたあたりからは降雪量は大幅に減ったようです。おかげでようやく駅構内の写真が撮れました。ホームに積もった雪も、だいぶ薄くなってきた印象です。というより、ホームに雪が積もっているのは、この一ノ関で最後でした。
一ノ関駅発は5:38。隣のホームには5:56発の始発列車がスタンバイしていました。東北本線ですが、ラインが青いことに驚き。私が知ってる東北本線は緑とオレンジなのですが…。

仙台駅到着が6:51。そして1/16の日の出時刻も6:51。仙台駅到着と同時に日が昇るというナイスタイミング。

払暁。

仙台直前までくると、だいぶ明るくなってきました。

仙台駅を過ぎると、地平線から昇ったばかり太陽を拝むことができました。

しかし日の出で喜んだのもつかの間、太陽が真横にあるのでともかく眩しい!
地面を覆う雪のの反射でまぶしさ倍増です。サングラス持ってくればよかった。

寒いせいなのか、遠くの工場の水蒸気も雲みたいになっています。極端な配色といい、ゲーム画面みたいです。

8時前に朝ご飯が来ました。530円のサンドイッチとコーヒーです。値札は外しておいてほしかった。

この日は大寒波がきているはずですが快晴です。寒すぎて逆に晴れちゃったのかなぁ…

なんて話をしていたのですが、完全に油断していました。

なんだこの雪は!?

阿武隈山地の北側に入ったところで、猛吹雪となりました。
屋根の上に乗っている雪の量もハンパではありません。

北海道も函館を越えたあたりで吹雪いてましたが、今回の吹雪はその比ではありません。カシオペアの旅で最大の猛雪です。

改めて、ここは「東北」だったのだなと思い知らされました。

吹雪の中をカシオペアは平然と走っているのですが、在来線も大丈夫なのでしょうか。
東京でこの半分以下の雪でも公共交通が止まってしまい、ぼちぼち半休となる会社も出てくるレベルです。そもそも降雪を想定して線路や道路が作られているわけではないの仕方ないのですけど。

窓から見れば、半分雪に埋もれた車を掻き出そうとしている人たちの姿が。そういえば、ちょうど通勤時間でした。雪に慣れた東北人はこのくらいではへこたれないようです。すごいな。

白石駅の前後で雪はやみました。窓に雪が付着して写真撮りづらいのなんの。スマホのオートフォーカスだと、窓の雪に焦点が合うのでうまく撮れません。

なにもかもが雪に覆われています。このような風景が福島駅に入るまで続きます。

福島駅をこえると、徐々に青空が戻ってきました。

郡山までくると、田畑でも雪が積もっていないところも見るようになってきました。これまで当たり前のように見てきた雪をかぶった樹も、ほとんど見当たりません。

福島あたりから、沿線に三脚を構える「撮り鉄」の姿も目立ってきました。
北海道行きのカシオペアが残りわずかな本数で姿を消すということもあって撮り鉄魂がたぎっているものと思われます。福島以南は快晴でしたし、撮影するには完璧なコンディション。ただ、車窓から見ていても寒そうでした。カメラのボディとかヒエヒエでしょうね。三脚だから大丈夫なのかなぁ。

沿線に耕作地が広がっているため、あぜ道に三脚を立てる人がほとんど。人が多く集まるベストポジションでは、顔見知り同士で和気藹々と撮影していました。大型の望遠レンズを使っている人が多いのは、遠方から走ってくる列車を圧縮するためでしょう。

「撮り鉄」と言えばマナー問題が良く取りざたされますが、当然ながら大半の方はマナー良く撮影していました。

しかし、ウワサに聞くようなマナーの悪い人も。軌道内に入り込んで撮影している人もいました。

軌道と言っても普段は使われていないようですが(進行方向左側に見えた線路なので)、さすがに線路内に立ち入っての撮影、しかも三脚を立てての撮影はさすがにNGではないかと。

本当にこんな人いるんだと驚きました。そりゃ問題になるのも当然かなと。こういう人たちのせいで、あぜ道で楽しく撮影している人も色眼鏡で見られてしまうのは、なんとも気の毒です。

撮りたいというパッションが押さえられないのは、カメラを趣味とする人間としてよく分かりますけど、何にせよルールを守るのが最優先です。自分だけの写真、自分だけの動画を撮りたいという気持ちが抑えられないのでしょうが、大人なのだからいろいろわきまえてほしいなと。

結果的に、めぐりめぐって「これだから撮り鉄は」と言う先入観に変わり、その他のまじめな人たちまで色眼鏡で見られるようになってしまうのですから…。

時折、未踏地のような真っ白なところに出たりもしますが、白河を過ぎると雪が積もっていない場所の方が目立つようになります。

体育館(白河総合運動公園)の手前の土手は阿武隈川です。仙台の南で見た煙もくもくの工場も阿武隈川沿いだったので、宮城の南から白河まで阿武隈川にくっついたり離れたりして走っていたのですね。阿武隈川長いなぁ。
そしてGoogleマップが便利なこと。こういう一つの交通手段での長旅となると、どのへんを走っているかよりも路線周辺の地勢を見るのがおもしろい。新幹線だとあっという間に走り去ってしまうでしょうし、こういう遊びはカシオペアくらいの速度がちょうどいいですね。

なお、写真の赤い車は、路肩に停車してスマホでカシオペアを撮影していました。車が走っていない(?)田舎道だからこそできる荒技ですね。

関東突入は9時半頃、昨日飛行機で飛び立った時間です。

24時間ぶりに関東に戻ってきました。うち15時間は電車に揺られていたのですが。

那須を越えると雪がまったくない世界に。そして関東暑い!むしろ窓を通り抜けてくる日差しが熱い!
この日の関東(東京)は、やはり寒波の影響でかなり寒かったようですが、極寒の世界から帰還してきた身にとっては「んー、まあ寒いかな…」という程度。なにしろ雪がないですからね。
たった一日前の事なのですが、なんだか雪がない風景が新鮮です。

10時頃に鬼怒川通過。カシオペアの旅も、残すところあと2時間となりました。

10:14宇都宮着。その2分後に発車です。

「あー!もう知ってる路線にきてしまった!もうダメだ!」と、snowが独特の言い回しで旅の終わりを惜しんでいました。
「もっとこの旅を楽しんでいたい」と言ってるのですが、5時間も寝てしまっていればそういう気持ちにもなるでしょう。私はずっと起きてましたけどね!

宇都宮を過ぎると、沿線の建物も増えてきて一気に都会感が増してきます。これまで雪原ばかり見てきたからなおさらなのでしょうが、栃木とは言え、やっぱり関東ってスゴイんだなと思いますね。人間の集まり方が違います。

途中、食堂車を撮らせてもらいました。宇都宮を過ぎて片付け途中だったため、テーブルの上にいろいろなものが乗ってしまっていますが…。
カシオペアのイメージカラーである濃紺の背もたれがすごく良いです。天井も丸みを帯びて、一見すると列車の中のようには思えません。
こんなところで食事したかったですけど、でもさすがに2時間は待てないなぁ…。さすがに四季島なんて乗れないですし、これから一生食堂車には縁がないかもしれませんね。昔は新幹線にも食堂車があったという話ですが。

11時前に利根川を渡り、11時ピッタリに生まれ故郷の東鷲宮を通過。24時間前には千歳空港に到着していました。このピッタリ感になにか運命めいたものをカンジますが、たぶん気のせいでしょう。でもsnowではないけど、「帰ってきた」「旅が終わる」という気持ちにはなってきました。
いつもの通勤路に突入したsnowは、何かを忘れるように、これまでにないほど窓の外を撮影していました。見慣れた風景撮ってなにが楽しいのかは、今ひとつ分かりませんし、その撮影のパッションは数時間前に発揮するべきだったんじゃないかと思わなくもなく。相変わらず面白い男です。

予定通り11:26に大宮着。大宮駅で宇都宮線と平行する「東武アーバンパークライン」こと東武野田線の車掌がこちらに手を振ってました。他の東武鉄道の人たちもカシオペアをじっと見ていましたが、同じ鉄道会社の人間として、特別列車はついつい見ちゃうのでしょうね(笑)。

11:40頃に荒川を越え、ついに都内に入りました。上野に近づくにつれ、snowの「もうダメだ!」の頻度も増えてきました。残り十数分で、カシオペアの旅も終わりです。

定刻どおり、11:52に上野到着。

お世話になった八号車。

青森から上野まで引っ張ってくれたEF81形電気機関車。この後推進で尾久の車庫へと戻っていくそうです。

札幌で引っ張っていた機関車(DF200形ディーゼル機関車)にはヘッドマークがありませんでした。札幌から降車する機会がなかったので、上野について初めてヘッドマークを見たことになります。

周囲には言うまでもなく車両を撮影しまくる鉄道ファンが集まっていました。でも撮っていた人の半分以上は、私と同じくカシオペアの乗客でした。

こうして、前日の16:38から翌日の11:52と、わたる20時間近いカシオペアの旅が終わりました。

気がつけば五稜郭駅でベッドメイクして以降、ずっとごろごろしながら寝台列車らしい自堕落な旅が堪能できました。

往路のように飛行機で行けば1時間、札幌まで北海道新幹線が延伸すれば4時間程度で到着できる道のりですが、そこをあえて長い時間かけて走ることで、車窓の移り変わりや天候の変化を感じ取れ、さらには普段は味わえない寝台列車ならではの体験ができます。

遠距離交通では、なにより速度と安さが優先されます。高速移動手段が整備された現在、寝台列車が普段の遠距離移動のための手段としては選択肢に入ってはきません。確かに寝台列車は「楽しい」ですが、そのユーザー体験以上のものが長所としてあげられないというのもまた事実です。20時間も電車に揺られるわけですから、大変なものは大変なのです。新幹線や飛行機のように移動時間が短いわけでなし、夜行バスのように安いわけでもない寝台列車が居場所を失っていった理由はよく分かりました。

しかし、ななつ星が開いたような、クルーズトレインという新たな需要が生まれつつあります。

先にも言いましたが、寝台列車には他に代えがたい体験があります。これは他の交通手段に対して寝台列車がもつ唯一のアドバンテージです。その長所を徹底的に積み上げたクルーズトレインは、旅客列車のフラグシップとして、そしてJR各社の新たな旅行体験を開拓するものとして大きな期待を集めています。

その先行者としてもカシオペアの存在は、やっぱりすごかったんだなぁと思った次第です。これからも本州を巡るカシオペアの旅は続くわけで、今度は自分のお金で3泊4日してみたいですね。

その前に、一緒に乗ってくれるパートナー探さねば…

(文/団長)


団長

「てらどらいぶ」管理人。 ゲーム開発のディレクター、動画配信サイト管理人のプロデューサーなどを歴任。 心のゲームは「ウィザードリィ」と「ザナドゥ」。ドラクエとFFならドラクエ派。

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