その釘は誰のために刺しているのか

去年6月の出演強要問題から、業界は主に人権関連の話でざわついていました。
そんな中でいろいろな団体が介入したり立ち上がったりと、いろいろな事がありました。

今では行政はおろか共産党や公明党といった政党、そして法曹や人権団体を巻き込んが大きな事態に発展しています。

セクシービデオ業界はいろいろな事情があって外部から触れづらく、結果として聖域化していたわけですが、6月の事件がメスとなって真空化していた業界内に政治的、思想的、そしてビジネス的な様々な「手」が入ってくることとなりました。
分かりやすく言えば、コーエー(現コーエーテクモ)の三国志で言えば空白地に隣の君主が手を伸ばしてきたようなものです。

業界自体も仕事柄なかなか別業界との絡みも生まれず、独特の場所で閉じたままその世界を作っていました。そんなウブでシャイな人たちが住まう世界に、外部の喧嘩慣れした人たちが人権やらモラルやらを盾に取って攻めてきたのです。

それに対抗して業界内でも人権団体を立ち上げ相対する構えを見せました。一つの出演問題が人権を軸とした抗争を生み出したわけです。

結果、瞬く間にベトナムやアフガニスタンのような政治思想闘争の代理戦場と化したわけですが、めんどくさいのはこれの勢力が西側、東側とスッパリ分かれるような戦いではなく、それぞれの団体がそれぞれの思惑を持って乗り込んできたあげく、類似思想を持つ団体同士でもマウンティングを行うという非常に入り組んだ戦線になっているということです。

それぞれが「女優の人権」という大義名分を持ちながら、それが争いの種になり、結果として守られるべき人たちの人権向上になんら寄与しないという、なんかこういうのゲームで見たことあるという状況になっているのですが、まあそのあたりは外に人間が口だしすべき話ではないと言うか、口だしするとなぜか怒られるのでこのへんにしておきましょう。

これらの外部団体に対抗して立ち上げた業界内団体の掲げた高邁な価値観に収斂することが正しいのか、テンポラリーに出演する企画女優はどうするのかとかいろいろ疑問はあるのですが、渉外や啓蒙活動は積極的にやられているようなので、与えられたミッションはしっかりこなしているものだと思われます。

しかし、あるユーザー(仮にAさんとします)が、今年に入って発生したある問題に対し、軽い気持ちで某SNSで発言したところ、某業界内部団体の方に発言を削除するように要請されたと聞きました。

今回のAさんの話を聞いて思ったのは、「そんな小さなところにあれこれ注文つけてる場合なの?」ということです。

他の業界通の方に聞いたところ、ちょっとめんどくさい話に発展しつつあるとの事で、また前述したような思想団体がもろもろ絡んでいたというウワサがあるようです。なのでその方がセンシティブになっているのは仕方ないことですけど、わざわざユーザーの不快感を稼いでまで釘を刺さないといけない理由ってなんでしょうね。かえって藪蛇だったのではないでしょうか。

この話も基はといえば、人権を軸にした空中戦の結果です。互いに的を外しながらお互いの被害を大きくしているような馬鹿げた抗争を繰り広げているわけです。これでは、もとより出演者を守ることなんてお互いできないのではないでしょうか。

出演強制問題は行政も巻き込んで予想外の大事に発展しつつあります。
セクシーコンテンツやポルノそのものが悪と声高に主張する人もいますが、当然、女優の職業差別問題や出演強制問題とコンテンツの善悪は全く関係ありません。

人権の問題は、どちらが正しいとか、どちらが誤っているという単純な話ではありません。個人の権利とは互いの権利の譲り合いと妥協の中で認められるわけで、一方の主張が一方的に通るのは非常に不自然なのです。
なにより当事者ではない人たちが外野で勝手にルーリングしたり倫理を決めたりするのはおかしな話ですし、かといって本当に求められているかどうかもわからない理想を押しつけるのもおかしな話です。そしてそれらを当事者の預かり知らないところでお互いに「人権」というタームで争っているのが大変滑稽なのです。

誰のために戦っているんですか? と言いたくもなります。

もうちょっといろいろと、実利的な方向で皆さん動いてくれませんか?と外部の人間としては思わずにはいられません。

また主語がゆるい話で申し訳ありませんが、いろいろと推測してお読みください。

(文/団長)


団長

「てらどらいぶ」管理人。 ゲーム開発のディレクター、動画配信サイト管理人のプロデューサーなどを歴任。 心のゲームは「ウィザードリィ」と「ザナドゥ」。ドラクエとFFならドラクエ派。

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