記事を読まず、コメントだけ読んで分かった気になる人たち

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NewsPicksの情報をいろいろ集めているうちに、常見陽平さんのブログに行き着きました。

NewsPicksのコメント欄がなぜ低品質なのか、見事なまでに看破しています。

NEWS PICKSが嫌いになってしまった このサービスにネットでの議論なんて無理である(陽平ドットコム)

サイト運営者なら誰しも経験する「記事をPickされてディスられた」というアレです。
本記事ではNewsPicksのユーザーの発言の問題点として、下記のような事が書かれています。

何度も言うように、著者なので、批判されるのは慣れっこである。それを「あいつ、また批判されていたぞ」なんていうのもナンセンスだ。
問題は批判の「質」「中身」である。
このコメントって、「記事を読んでいないこと」を可視化していないか?

はい、おっしゃる通りです。

日本人の識字率はほぼ100%ですが、むしろ読解力が衰えているという話があります。特に長文をかみ砕いて理解する能力が衰えたこと、ニュアンスを前後の字面だけで捉えて判断してしまう傾向が強くなったそうです。その究極が「記事を読まなくても分かる」という超能力です。
私もそのステキ能力を身につけて大量の積ん読を処理したいです。

皮肉なことに、NewsPicksが発生源とする「残業100時間超で過労死するとは情けない」の炎上も、まさにこの文脈で発生したものです。しっかりニュアンスを捉えられない人が放流し、そこに尾ひれがついて言ってないこと、意図しないことまで言ったことにされたわけです。

しかし、NewsPicksユーザーにも同様の傾向が認められるのだから、これはもう目くそ鼻くそレベルの話でしかありません。読解力に肩書きもリアルの属性も関係ないのです。むしろ自分は頭が良いとか、エライと思っているヤツほど読まないで分かったつもりになるのです。

読解力については、この本がおすすめです。「わからない」ことよりも、「わかったつもり」でいることの方がはるかに問題だ!と言い切る帯がステキです。

さて、NewsPicksユーザーの方から、一件のメールをいただきました。興味深い内容だったので、一部を抜粋させていただきます。

今月、某テレビ番組にてNewsPicksの編集長がNP目指す方向性について語っていたのですが、彼は「自前の有料記事とプロピッカーのコメントで相互補完された情報体系に読者が月額課金するプラットフォームである」と語っていました。

言うなれば一般アマピッカーは運営から黙殺された存在。
そしてプロピッカーは自前のメディアを相互補完的に構成する要員という位置付けから、あのような法的訴訟をも辞さないという強硬手段に出たのだと推測されます。

現在のメディア戦略は、開設時は他サイトやSNSからの引用もしくは低コストの記事を量産してアクセスを集めて、収益のめどが立ったら、コストのかかるオリジナルコンテンツで顧客を抱き込むという方法が主流です。
テキストサイト時代のように開設時からオリジナルコンテンツを作っていくやり方は、当時と比べて情報生産速度が段違いとなった現在ではもう流行らないのです。

いわばプロピッカーは、成長戦略の第一段階である「引用」を担う成長の要です。彼らがプロの目で(他サイトから)記事をPickし、それについて専門性の高い、SNSなどでは得られないプレミアムな情報(コメント)を付加するというのがNewsPicksのハードポイントであったと思います。

NewsPicksの「引用」は自前でメディアを運営している側からすれば非常に癪なものですが、記事そのものを転載したものではないので「引用」として認められる「適法」の範囲内で運用されているものです。なので「時間の無駄を無駄にしないためにはPickするしかないわなorz」という某大学院大学の某准教授のPickも(こちらの要望を無視したというのを除けば)適法なんです。仮に私が某大学院大学にこの件を言ったとしても、法的に問題ないと言われるだけですし、ヘタするとこちらが中傷だと言われるかもしれませんね。当たり前のことですが、倫理と法律は別ものですので。

しかし、弊サイトの記事のように本来NewsPicksの考える経済誌という方向性とは全く合致しない記事をネガティブな理由でPickしたって、サービスのクオリティは上がらないのですよ。
むしろ悪意でコンテンツを水増しするだけで、ユーザーからしても不要な記事が増えたようなものです。
結果、罵倒や中傷のコメントが並ぶゲスな「コンテンツ」が産まれてしまいました。
お金を払ってPickさせているプロが、Twitterやまとめブログのノリで低品質なコンテンツを生み出しているのだからたまりません。
実際に私のところにも、このプロピッカーのPickと発言に対し「不愉快だった」という意見がきています。
いわば外注の雑な仕事の結果でサービスの印象が悪くなったわけです。私が運営だったら張り倒すところですね。

上記メールの通りであれば、NewsPicksは引用による成長の段階を終え、今後は自前のコンテンツとプロピッカーを基軸とした、これまでの経済誌系メディアにはない新しいメディアに転換する模様。黒字化してハイコストな自社コンテンツを量産する体制が整ったのでしょう。

そしてプロピッカーも、その記事をPickしてコメントするだけではなく、情報体系のクオリティコントロールと外部の編集者という立場に変わっていくはずです。
となると、サービスの基軸である虎の子のプロピッカーを守るために、今回弊サイトに送られたような警告を発したのだろうとの予想ができますが、むしろ、彼らに問題のない高品質の仕事をさせればいいだけです。簡単に言えば、プロらしい仕事をしっかりやってもらえばいいだけの話です。

簡単ですよね。

ニュースサービスのコメント欄って扱いが難しいと思うんです。コメントによって読者のバイアスが決まってしまったり、場合によっては記事の質そのものまで引き下げる危険性すらあるわけです。まして、「分かったつもり」になりやすい人は、記事タイトルとコメントだけを見て内容を勝手に解釈して、まさに分かったつもりになってしまいます。

読解力に欠ける、もしくは文章をしっかり読む習慣がない人相手のサービスでは、コメント欄はむしろ害悪しかもたらしません。

一方で、プロピッカーの意見だけを読ませたいなら、コメント欄やSNS的な要素は全く必要ないと思うんですよ。確かに低品質なコメントを並べられるより、記事の補講としてのプロの意見を併載するというやり方はアリでしょうが、いただいたメールの懸念にもあるように、記事を読んでプロピッカーや立派な肩書きのある人のコメントを読むパッシブなサービスになっていくことに、一般のピッカー(アマピッカー)は納得しないということになります。

SNSの面白さは、プロフェッショナル(もしくは企業)と一般人が意見を交わしやすいところにあるかと思います。また匿名性が強いTwitterなどでは無名の人が発した言葉やコンテンツが何万RTという影響を生み出すことすらあります。
NewsPicksのコメント欄がなんとなくヤフコメっぽいのは、こういうカタルシスに欠けるからではないのかなと。せっかく(プロや立派な肩書きの人以上に)興味深いコメントつけても、肩書きがないゆえに省みられることなく、自分の見解よりも数歩劣った偉そうな人たちの意見ばかりLIKEがついていれば「肩書きがなければ意見すら聞いてもらえないのか」という気持ちになるのは分かる気がします。そういうリアリティ、ネット言論の世界で求められていないと思うんですよね。

単純に言えば、運営自身はコメント欄をどうしようという考えていたのでしょうか。Twitterのような議論の場?それともご立派な肩書きやプロのご意見を開陳するだけの場? 個人的にはその二つを強引に合体させたため、どちら着かずでユーザー満足度が低く、立派な肩書きなわりには記事もちゃんと読めない人たちの低品質な意見が並ぶコメント欄を生み出す原因になっているように思います。

NewsPicksに限った話ではないのですが、ネットユーザーが増えた昨今、コメント欄の運用は方向性をもってしっかり考えないといけませんね。低品質なコメント欄は、元記事の良さすらも損ないますから。

※本記事ならびに弊サイトのコンテンツをNewsPicksへPicksするのはおやめください。

(文/赤蟹)


赤蟹

スベスベマンジュウガニ並みに猛毒を吐きまくる赤い蟹の人。「てらどらいぶ」の裏ボス。サイト管理とコーディング、デザインなどを担当。文章を短くできないのが悩み。