【リポート】セクシー男優と南相馬の「今」を考える。東日本大地震チャリティーイベント2017(その1)

東日本大震災から6年がたった。

避難区域の解除も進み、元の姿を取り戻しつつある福島だが、復興が進むにつれて新たな問題も生まれている。

自主避難支援も3月末で打ち切りとなった。4月4日に行われた閣議後の記者会見内での今村雅弘復興相の発言と、フリージャーナリストとのやりとりがニュースにもなったので、ご存じの方も多いだろう。
マスコミが今村大臣の発言を激しくバッシングする一方、公開された会見目録を見たネットユーザーからは、同一の質問を繰り返す陰湿なフリージャーナリストの態度に多くの非難の声があがった。

 

原発事故はいまだに社会問題として大きな存在感を持っている。復興へのベクトルも集束されていない。今村大臣の会見を見ても分かる通り、原発事故は思想的な側面を抱え、政治的には非常に複雑な問題になってしまっている。いつになっても終わりも落としどころも見えてこない。

このような状況下で、果たして被災地、そして福島はどうなっているのか。

現状を知るべく、そして自分たちもなにかできることはないかと立ち上がった男たちがいた。普段は自らの股間を立ち上げている、代々木忠監督率いる面接軍団だ。

今回で6回目を数える例年イベント「東日本大地震チャリティーイベント2017」が、3/12に新宿レフカダで開催された。

去年の「東日本大地震チャリティーイベント2016」では、代々木忠監督、森林原人さん、片山邦生さん、そしてイベント主催の吉村卓さんらによる南相馬市の現地取材が実現。今なお解決できない問題に直面する南相馬の現状、そしてそんな故郷で悪銭苦闘する南相馬の人々の模様をリポートした。このリポートについては、弊サイトでもイベントレポートが掲載されているので、興味があれば見ていただきたい。

今年も2部構成で、第一部は南相馬市の現状と復興状況について、第二部は代々木忠監督ほか面接軍団総出演のトーク&オークションとなった。
本記事は、第一部の模様をリポートする。

■あれから1年。南相馬はなにが変わったのか。

ステージにはセクシー男優に混ざり、南相馬の復興支援に携わる株式会社リンケージの代表取締役、田中章弘さんも登壇。復興のリアルを、語ってくれた。

昨年7月12日に帰還困難区域を除いた避難指示区域が解除された。これにより南相馬市のほぼ全域が居住可能な地域となった。これに伴って帰還した市民は1400人前後。決して多い数字ではない。

しかし、人が戻ればすぐさま復興が進むというものではない。建物の再建やインフラの回復などの物理的な問題もそうだが、人間が定住を続けるには糧を得る手段がなくてはならない。
糧を得る手段として一般的な方法は「仕事」だろう。しかし安定した仕事を作るには、市域もしくは周辺地域を含めた住民の行動圏内の経済が健全な状況にならなくてはならない。そのためには労働力を消費する住人の数が必要だ。そして住人を定着させるためには、仕事がいる。
帰還と経済復興は唇歯輔車である。共に回復していくことが望ましいが、マンパワーが不足する現状では早期回復は難しい状況だ、と田中さんは言う。

例えば、田畑の作付けはまだ許可されてない。農業世帯が帰還したとしても、震災前と同じ仕事はできないのだ。

このような状況のため、南相馬市に帰還しても経済的自立が難しい。しかし人口が回復しなければ市域の復興もおぼつかない。そのため帰還後も経済的補償は続いているそうだ。

また、小学校ではいまだに教員が輪番制であり、子供の教育環境も万全とはいいがたい。全市民帰還までの道のりは果てしなく遠い。人口をめぐるシビアな現実。東京や被災地外の住人には分からない、復興が進まないもどかしさが、田中さんの言葉を通して伝わってきた。

■大人の偏見が経済復興といじめを生み出す原因となっている。

福島、そして被災地という言葉は、原発事故当初から思想的なファクターを持った。「フクシマ」という言葉が生み出され、福島は意図的に忌避される概念として膨張を続けている。復興も徐々にではあるが進みつつある中で、歪曲化されたフクシマの幻影もいまだ払拭されずにいる

福島県民の無念さ、悔しさはいかばかりか。

安全をどれだけ証明しても、消えることのないフクシマへの偏見。いわれのないヘイトにいつまでも苦しめられる福島の現状を、田中さんは重々しく語った。

すでに常識となりつつあるが、福島の農産物・水産品は安全が確認されたものが出荷される。

福島復興ステーションの「農産物等の放射性物質モニタリングQ&A」には「1.農産物等の放射能検査はどのように行われているのですか?」という質問についての回答がある。

 福島県では、国のガイドラインによる農林水産物等緊急時環境放射線モニタリングや、米の全量全袋検査をはじめとする産地・生産者による自主検査など、農産物等の放射能検査を行い、安全な農産物等だけが流通・消費される体制を作っています。

農林水産物等緊急時環境放射線モニタリングは、国の原子力災害対策本部(本部長:内閣総理大臣)が定めた「検査計画、出荷制限等の品目・区域の設定・解除の考え方」に基づき、福島県を含む関係都県において実施されています。

このガイドラインに基づき、県がサンプリング計画を定め、検体採取と測定を行っています。

モニタリング結果は県のホームページで公表するほか、新聞社等への情報提供もしています。

モニタリング結果は同ページにもあるので、興味がある方はぜひごらんいただきたい。

このような取り組みを続けているにも関わらず、「フクシマ」への疑念はいつまでも氷解しない。なぜだろうか。科学的な根拠よりも、感情に訴えかける不安の方が人を強く支配するからだ。「安全だが安心ではない」という事である。

田中さんは東京の大田市場で、福島産の農作物が二束三文で買いたたかれたり、卸を断られた話を挙げ、悔しさをにじませた。

吉村卓さんは昨今表面化している避難児童に対するいじめについても言及。大人の知識不足や思い込みが子供に伝わり、結果としていじめの原因になっているのでは、と推測する。

311の呪いは、いつまで福島を苛みつづけるのだろう。暗澹とした気持ちが広がるが、一方で面接軍団のような理解者もいる。偏見を取り除くことは難しいかもしれないが、本イベントのような啓蒙活動が続けば、いずれ払拭される日がくるかもしれない。

田中さんも、面接軍団の取り組みに何度となく感謝の言葉を述べていた。セクシー男優はニッチな存在かもしれないが、そんな彼らだからこそ、政治も思想も関係なく、純粋に福島の復興を願って活動できるのかもしれない。それはきっと、福島の人たちの、一風変わった光にもなるだろう。

次は、セクシー男優の独壇場、被災地の性に関する問題に切り込む。

「その2」に続く。

(文/団長)


団長

「てらどらいぶ」管理人。
ゲーム開発のディレクター、動画配信サイト管理人のプロデューサーなどを歴任。
心のゲームは「ウィザードリィ」と「ザナドゥ」。ドラクエとFFならドラクエ派。

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