奇跡の時代を生きてきた「アートジジ」は、氷河期世代への挑発である

こんにちは。友達と一緒に博物館に行くと、つい小ネタがやりたくなる蟹です。

ところで最近、やたらと「GG」というキーワードを目にします。トミーカイラの車かと思いましたが、6/24発売のシニア向け男性誌だった模様。

このGGが主にネガティブ方面で話題になっているのは本誌の編集長、岸田一郎氏がインタビューで以下のように語ったためです。

「ちょいワルジジ」になるには美術館へ行き、牛肉の部位知れ(NEWSポストセブン)

 創刊号では「きっかけは美術館」という企画を予定しています。「美術館なんて出会いの場所になり得ない」と思うかもしれませんが、実は1人で美術館に訪れている女性は多い。しかも、美術館なら一人1500円程度だからコストもかからない。
まずは行きたい美術館の、そのときに公開されている作品や画家に関する蘊蓄を頭に叩き込んでおくこと。
熱心に鑑賞している女性がいたら、さりげなく「この画家は長い不遇時代があったんですよ」などと、ガイドのように次々と知識を披露する。そんな「アートジジ」になりきれば、自然と会話が生まれます。美術館には“おじさん”好きな知的女子や不思議ちゃん系女子が訪れていることが多いので、特に狙い目です。
会話が始まりさえすれば、絵を鑑賞し終わった後、自然な流れで「ここの近くに良さそうなお店があったんだけど、一緒にランチでもどう?」と誘うこともできる。もちろん周辺の“ツウ好み”の飲食店を押さえておくことは必須です。

このインタビューに対し、「実際に言い寄られた経験がある」「美術館をナンパに使うな」など様々な批判が集まりました。

氏は「ちょいワルおやじ」など、いつまでも不良の心を忘れないワイルドな男性のライフスタイルを的確に命名する特技をお持ちの方で、他にも「艶男(アデオス)」など、ハイセンスな言葉を次々と生み出している方です。

平安の昔より悪(ワル)とは常識と隔絶された世界に生きる者たちなので、氏も炎上上等で我が道を往くといった具合でしょう。おかげで新雑誌の宣伝にはなったでしょう。悪評でも知られないよりはマシですので。

ところで蟹は、問題の美術館ナンパのよりも最後の一文が気になりました。

 いまの50~60代というのは生まれながらにして経済的に恵まれてきた“奇跡の世代”。若いうちからいろいろなモノや遊びに触れてきて、造詣が深いのだから引っ込んでいたらもったいないですよ。もっと自信を持って「ちょいワル」を目指してほしいと思います。

この文を読んでイラッとするのは、苦しい時代に生きてきた氷河期世代だからでしょうか??

バブルで遊びまくったちょいワルジジィが、マジメに美術館見学している若い子をハメ倒してやろうなんて思っているわけで、生理的な嫌悪感よりも先に、この世代のせいで人生まるごとペンディングされた身としては怒りしか覚えません。

いいっスね。遊んで暮らせたGGは。

この最後の文を見てから先の美術館の下りを見ると、氏と同年代の、いわゆる「ポスト団塊世代」のあこがれと妄想がここに結実しているのではないかと思うのです。

美術館をひとりで回っている女は人付き合いがヘタで、男性関係も薄そう。ついでに遊んでないので、男慣れもしていなさそうです。ちょっと口説けばコロッと転がるかも…。
そこに奇跡の世代としての造詣や遊びを教え込んでやろうという、氷河期以降の苦難を乗り越えてきた世代をチャラく見積もったそのカンジにイラッとくるんです。たまりませんね、こんなGGにロックオンされちゃ。せっかくの美術館めぐりも台無しです。

 

さらにこの話のたちが悪いところは、すでに美術館(博物館)ナンパGGがこの世に爆誕しているということです。

大江戸博物館に浮世絵展に行った時のこと。前に並ぶご婦人に熱心に説明しているGGがいました。ずっと夫婦かと思っていましたが、よく聞けば、女性の方はずっと敬語。そして途中から展示物そっちのけで「これからちゃんこ食べませんか」などと口説く始末。ご婦人は遠慮してますが、押しの強い男相手に女の独り身はとても不安なものです。断って何かされたら抵抗できないからです。

1500円払ってそんな恐怖を味わう身にもなってください。
岸田氏は「美術館なら一人1500円程度だからコストもかからない。」と言ってますが、口説かれる女性の方も同じく1500円払っているのです。そしてその1500円はGGの話を聞くために払っているわけではありません。奇跡の世代には理解できない話かもしれませんが!

なお、トミーカイラの車は「ZZ(ズィーズィー)」でした。

(文/赤蟹)


団長

「てらどらいぶ」管理人。
ゲーム開発のディレクター、動画配信サイト管理人のプロデューサーなどを歴任。
心のゲームは「ウィザードリィ」と「ザナドゥ」。ドラクエとFFならドラクエ派。

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