【蟹さんレビュー】にゃんこい! お猫様の呪いが巻き起こす恋のバトル?

個人的な名作「にゃんこい!」。アニメ化されたわりには知名度が今ひとつな作品であるが、私のお気に入りである。

どんな話なのか。AmazonのBlu-ray BOX商品ページの説明によると…

「猫の願いを百個かなえないと、アンタ・・・・・・猫になっちまうよ。」
大の猫嫌い&猫アレルギーの高校生・潤平は、とある事件をきっかけに猫たちの言葉がわかる身体になってしまった!
寄ってくる猫の願いを叶えるうちに、飼い主の美少女や年上のお姉さんと、ちょっとイイ関係になったりならなかったり!
片想い中の天然美少女・楓に誤解されたり、飼い猫・ニャムサスに叱咤されたり!
美少女×男子高校生×にゃんこたちが繰り広げる、ニャンともカワイイラブコメディー!

そう、ニャンともカワイイラブコメディーなのだ。ラブコメ大好きな私にとっては大好物の逸品だ。

平凡でヘタレだが共感力が強い主人子の潤平。ある日缶蹴りをしたらお寺の猫地蔵の頭を折ってしまった。地蔵の怒り(?)に触れた潤平は、「ネコの願いを百回叶えないとネコになる」という呪いをかけられてしまう。呪いの副作用として猫の言葉が分かるようになったものの、潤平は猫アレルギーで猫嫌い。飼い猫のニャムサスに近づかれてもくしゃみが止まらなくなる極度のアレルギーである。すなわち猫になるということは、潤平にとっては死を意味することでもあった。

嫌いな猫の願いを叶えているうちに、女の子と接する機会が増えていく潤平。片思いしている同じクラスの水野楓との仲が進展したり、幼なじみの住吉加奈子とよりが戻ったり、先輩である一之瀬凪には一方的に結納を迫られ、住職のヤンデレ娘には不幸体質が気に入られてつきまとわれる。

見ようによってはハーレムものにも見えなくないが、あまりハーレム感はそれほど強くない。潤平はひたすら楓の事しか考えていないからだ。
他の女性陣は幼なじみの加奈子を含め、友人以上の存在だとは思っていないのだ。なのでむしろ、他の女性キャラは潤平の恋路にちゃちゃを入れる存在でしかない(と、潤平は思っている)。

しかし潤平はヘタレなので、楓に気持ちを伝えることができない。楓も実は潤平を意識しているのだが、こちらも引っ込み思案で自分の気持ちも整理できないため、潤平の気持ちに応えられない。そんなもどかしい二人の間に、猫と女性関係のトラブルが入り込むというラブコメディのお手本のような作品である。

ところで、潤平は楓を、楓は潤平を気にしていると書いた。ではこの関係に深く絡む住吉加奈子はどこに立っているのか。

ここが今回の本テーマである。

加奈子と潤平の幼なじみだが、ある事件がきっかけで潤平と加奈子は疎遠となってしまった。以来二人は顔を合わせれば喧嘩ばかり。その関係は高校時代まで続き、加奈子はマンバ(ヤマンバギャル)になったことでますます縁遠い存在となっていた。

しかし衝突の発端が、実は加奈子の勘違いだったと判明。二人の関係も氷解するのだが、同時に加奈子がずっと秘めていた潤平への気持ちも封印が解かれてしまった。

以来、なにかにつけては潤平の気を引こうとする加奈子だが、強気な性格もあって潤平は加奈子を女として見ていない。
自分の気持ちに気づいてくれない潤平にやきもきしたり、女らしい楓と比べて落ち込んだり。ゆっくりとだが気持ちが近づいていく潤平と楓に焦ったり。しかし、強引に潤平を手に入れようとすると、親友である楓に遠慮してしまう。

楓も加奈子の気持ちにぼんやりと気づいているのだが、マイペースな性格もあって加奈子ほど気にしてはいない。強気な見た目に反して繊細な加奈子は、潤平への好意と楓への遠慮の間でずっと板挟みとなり、独り相撲を取り続けることになる。

それでも加奈子は、潤平の事が好きなのだ。

そんな加奈子がいじらしいのである。

しかし、パー子にしても加奈子にしても、なぜ「気持ちが届かない」キャラクターを愛してしまうのか。気持ちが届かないと知りながら、ちょっとした奇跡に自分の心を預けようとする彼女たちのいじらしさ、せつなさが私の心をゆさぶるのであろう。

なお、アニメ版だとニャムサスがどちらかと言うと加奈子寄りであり(かつて世話になったという義理で)、加奈子の気持ちに気づかない潤平をお仕置きしたこともあった。

潤平、楓、加奈子以外のキャラクターもそれぞれに際立ち、単なるおじゃまむしで終わっていないところも好感が持てる。それぞれのキャラクターと潤平とのエピソードも豊富であるし、飼い猫ニャムサスに絡んだエピソードも少なくない。
彼女たちがなぜ潤平に好意をもったのか、というアンサーもしっかりと用意されているし、展開に不自然なところがなくストーリー上の矛盾も少ない。隠れた名作と言っても過言ではないだろう。というか、私は大好きだ(笑)。

コミック版はKindle版でも読めるようになっている。掲載誌を乗り換えるなど、潤平同様数奇な運命をたどったにゃんこいだが、無事現在まで刊行されている6巻まで電子書籍で読めるようになった。

また、アニメ版はより原作のコメディ部分を強化。
声優たちの恐るべきアドリブ(特に凪先輩役の小林ゆう)も相まって、上質なラブコメ作品となっている。コメディ色の強いオリジナルエピソード、オリジナルシーンもあって原作マンガとは若干テイストが違っている。しかしアニメの作法としては正しい方向にアレンジされているので、原作ファンが見ても違和感はないはずだ。そして加奈子のけなげさ、切なさはそのままにアニメ化されているのがいい。というか、アニメスタッフはきっと加奈子押しに違いない(断言)。

にゃんこい!のBlu-ray-BOXは初週で500本ほどしか売れなかったようだ。その内の一本を買ったのは、言うまでもなく私である(涙)。

しかし、私のマンガ評はなんでいつも堅苦しいんだろう…。素直に「加奈子萌えーーー!!!」くらい書けばいいんですけどね。文学部卒なんでお許しください。

 

(文/赤蟹)


赤蟹

スベスベマンジュウガニ並みに猛毒を吐きまくる赤い蟹の人。「てらどらいぶ」の裏ボス。サイト管理とコーディング、デザインなどを担当。文章を短くできないのが悩み。

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