【カクヨム】△なラブコメ募集中 結果発表と企画の感想

私が企画していたカクヨムのイベント「△なラブコメ募集中」。
18件の応募がありました。ご応募ありがとうございました。

■入賞作品のご紹介

全18作品の中でも、私が良いとおもった作品は、以下の3作品です(50音順)。

また、レギュレーションの条件不足により、惜しくも落選したものの、紹介せずにいられなかった作品は以下の三作品です。(50音順)。

それでは、各作品の書評を発表させていただきます。

■各作品の書評

Angel trap(ゆうかさん)

正当進化したケータイ小説という印象を受けました。
高校生バンドの活躍と彼らに訪れた悲劇を、各キャラクターの視点から描いていくという作品です。後半の展開が急な印象も受けましたが、作者のゆうかさん曰く、コンテスト用に15000文字に収める必要があったためだそう。そのおかげで展開にゆるみがなく、引き締まった作品に仕上がったように感じました。
そしてなにより、主人公のユウの涼太に対する嫉妬や焦り、恋する女性を得られないじれったさがうまく描かれ、私好みの三角関係に仕上がっていたので嬉しかったです。そうそう、こういう作品が読みたかったのです。

 

恋と模型と妖怪少女(ニセ梶原康弘さん)

読み始めた時は「艦これに触発された作品かな」と思ったのですが、触発されたのはプラモだったようですね(笑)。
優れた描写と展開のスピード感、そして読みやすい文体により一気に読み切ってしまうことうけあいの正当はラブ「コメ」作品です。実は今回の企画で★★をつけたのは本作のみです(カクヨムのレビューシステムの不備から、基本的には★しかつけてないので)。すなわち、本企画中私が一番面白いと思った作品…ということです。
しっかり三角関係も描かれているし、千秋ちゃんが一生懸命だけど空回りしているところなど、まんがチックですがとてもカワイイと思いました。キャラクターも全体的にマンガ風であり、大げさな動作が多いとカンジましたが、作品のテイストによく合っていると感じました。

 

シークレット・テイスト(おぼろつきよさん)

本企画中、もっとも「やられたっ!」と思った作品です。
フットサルの描写が細かいので、てっきりフットサルの話かと思いましたが、第2話でこっそり主題が入れ替わる展開。なるほど「シークレット・テイスト」とはそういう意味だったのか。
恋敵の土俵では戦えないと諦めていた主人公「レイカ」の窮鼠の一噛みが見事にはまってハッピーエンドに向かう。そんなカタルシスが得られる△なラブストーリーでした。

 

そして規格外だけど、面白かった作品です。

卒業証書は渡せない(玲莱さん)

本イベントで最も早く登録していただいた作品。いわゆるケータイ小説ですね。
わたくしケータイ小説というものを読んだことがないので、とても新鮮に感じました。
ゆるゆると日常が続いていくうちに、後半「ゾクッ」とする展開が待ち受けています。それがなにかはネタバレになるので伏せますが、予想を裏切られて、とにかく驚きました。
もうちょっと夕菜の気持ちに踏み込み、夕菜がなぜ弘樹を好きでいつづけたのか、の理由が明確になれば良かったように思います。
今回の規格は5万文字前後というルールでしたが、本作は9万文字。そのため「規格外」として扱わせてもらいました。

 

タンデム(萩原まいまいさん)

バイク乗りたくなりました(笑)この作品を読んだ後、RIDE2でハヤブサ転がしまくってしまいました!
ざっくばらんだけど寂しがり屋のお姉さんが可愛かったです。
私小説的で口語体のため、主人公への感情移入がしやすかったのはグッドポイントでした。
規格外としたのは、明確な三角関係が描かれてなかったからです。

 

文学少女の恋文(きょんちさん)

主人公が文学少女のせいか、古式ゆかしいキレイな文体の作品です。
純文学好きな(でなければ文学部なんて行ってない!)私にとっては大好物な作品なのですが、連載が始まったばかりで三角関係に至るまで進んでいなかったため、規格外作品とさせていただきました。
今後の展開が楽しみです。

 

■自主企画を開催して思ったこと

今回の「△なラブコメ募集」は、こんな条件で募集しました。

三角関係のラブコメが読みたいです! 重要なところは、三角関係というところです!
ラブコメ脳な私をキュンキュンさせてください!

【参加条件】
作品内容について(★は必須)
★主人公は男でも女でも可
★三角関係があること
★ハーレムものはNGです。今回はあくまで三角関係の募集です。
☆完全な三角関係ではなく、「想いが届かない」キャラがいる方が好物です。
☆三角関係があれば普通のラブストーリーでもいいです
☆ハッピーエンドでもバッドエンドでもOK
☆未完でもいいですよ
☆連載中の作品は三角関係が始まってからのご応募をお願いいたします

 

【企画のルールとか】
・遅読のため、5万文字くらいまでの作品を募集。字数が多い作品はご遠慮ください(基本、読みません)
・最初の1000文字くらいで続きを読むか判断させてもらいます。
・辛口の評価をする場合もあります(文学部卒なので…ごめんなさい)。
・感想については、最後(もしくは最新話)まで読んだものに限り、応援コメントやレビューという形で書かせてもらいます。
・良かった作品については、私が運営しているメディア「てらどらいぶ」の方でも紹介させていただきます!(もちろん、掲載前には相談させていただきます)。
・参加条件を読んでからご応募ください。

では、皆様のご応募お待ちしております。

しかし、応募作品の中には、条件やルールに適合しない作品も見受けられました。ここがとても残念でした(特に文字数と三角関係の有無)。

カクヨムは「カク」の比率が圧倒的に多いと感じています。
「ヨム」は間違いなく少数派です。
「カク」はするけど、「ヨム」はしないという方、大勢いらっしゃるのではないでしょうか?

例えば今回のような自主企画に参加されている方の中で、同企画内の他の応募作品を読まれている方ってどれくらいいるでしょう?
私の企画に限らずですが、自主企画に参加される方の多くは「自分の作品を読んでほしいだけ」の気持ちで応募されているかと思います。
熱意や野心は、創作に必要なものなので否定はしませんが、自分の作品を読んでほしいだけの方、言い換えると、他者の作品を読まない方は、遠からず限界がきてしまうような気がします。

今回優秀作に選ばせてもらった3作品の作家さんは、自らの小説を書きつつも他のカクヨム作品へのレビューも多く投稿していました。
もちろん、そのような選考基準で選んだわけではありません。たまたま、よくレビューを書かれている方の作品を選んでいただけのことです。

文章術の話で言えば、語彙の豊富さやレトリックのうまさは、本を読むことでしか培えないと思います。
音声でも不可能ではないのですが、文章としたときの収まり具合などは、お手本となる文章を視覚でとらえないとキレイにまとまらないと思うのです。

なので読書は作家にはマストといえるアクションとなります。

そしてカクヨム作家には、この点において一つ良いファクターがあります。
それは、「自分と同程度の作家が多く集まっている」ということです。

このメリットは以下の3点。

  • 同レベル作家(ライバル)の作品を読むことで、競争心を養うことができる。
  • 近しいライバルの存在により、自らの作品や作風を磨き上げることができる。
  • 同レベルの作家をヨムことで、客観的に自分の欠点を見つけることができる。

素人の作品ではなく、プロの商用作品を読んだがいい、というのは正論です。
しかし商用のプロは、文章をお金に換えられるレベルの人です。つまりお金を出した人に対して責任が取れるレベルの文章が書ける人、ということです。

去年のWELQ騒動を見てもおわかりの通り、昨今文章の価値が低く見積もられすぎているように思います。文章は誰でも書けるからライトなタスクだと思われているのですね。
しかし、さらにプロは巧みなレトリックと文章構成、そして豊富な知識によって文章を編み上げます。素人とプロの差は、以外と「歴然」としているのです。

そのようなプロと自分を比べても、あまり参考にはなりません。創作におけるインスピレーションを受けても、立派な文章を通して自分の作品の欠点(≠稚拙さではない)を自覚するのは難しいと思います。

格闘ゲームと同じで、自分と同じステージの作家(対戦相手)の作品を読む方が、相対的に自分の立ち位置や欠点が分かりやすく、問題が簡単に見えてくるのではないでしょうか(これは実感でもあるのですが)。

以上の理由により、カクヨムで「カク」をするには「ヨム」が大切ではないか、と本企画を通して感じた次第です。

三角関係もラブコメも関係ない結論になっちゃいましたけど。なんかすいません…。

そういう意味でカクヨムは、自分の作家性を揺籃する良いプレースだと思いますけどね♪

どんどん「ヨム」して、どんどん「カク」しましょう☆

 

■次回の自主企画

そんなわけで、次回は「カクヨムレビューを10回以上書いた方の自信作」にしようと思います。

上記で導き出された「多くの作品を読んでいる人はすぐれた小説が書ける」「アマチュアはアマチュア作品を読むことで技量があがる」という法則を証明してみたいです。

本日(7/6)から開催です。

ではでは。

(文/赤蟹(細茅ゆき))

 

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蟹もカクヨムで小説を書いています。

竜殺しの独女とニセモノのムスメ

美魔女(アラフォー的な意味で)の竜殺し「さゆり」と彼女の娘を自称する謎の美少女「みのり」が、老いた悲しみや若さへの嫉妬を抱きながらドラゴンを次々と倒していく話です。よかったら読んで下さい!


赤蟹

スベスベマンジュウガニ並みに猛毒を吐きまくる赤い蟹の人。「てらどらいぶ」の裏ボス。サイト管理とコーディング、デザインなどを担当。文章を短くできないのが悩み。