ケータイ小説は死んだ? いえいえ、生きてますよ?

先日、Yahoo!ニュース(ねとらぼ)でこんな記事を見かけました。

ずいぶん長い記事なのですが、要約すると、こんな感じです。

  1. ケータイ小説は主に郊外のマイルドヤンキー層に消費された
  2. 浜崎あゆみをはじめとした当時の歌謡曲の世界観に基づいている
  3. ケータイ小説が廃れたのはスマホとTwitterが原因

1の指摘はその通りで、ケータイ小説は郊外住まいのマンガ以外の本を読む習慣のない層、すなわち活字はケータイでしか消費しない偏差値50前後かそれ以下の人たちによって消費されていました。これは当時、ケータイ小説サイトを運営していた会社の人から聞いたので間違いないと思います。
ケータイ小説がマイルドヤンキー層にウケたのは、恋愛とそれに伴う障壁、人間関係とそれがもたらす問題、さらにはレ○プ、妊娠、堕胎、流産などの過激な展開が「リアル」とされたからです。

なお、マイルドヤンキーたちが暮らす郊外では、10代でデキ婚する人は普通にいます。私の同級生でも高校生の時に妊娠した女子が何人かいました。個人的な見解では、彼女たちがだらしなかったというより小中で性教育がしっかり行われていないせいだと思うのですが、なんにせよマイルドヤンキーの中では恋愛=妊娠という単純な図式はさほど珍しい話ではないのです。
狭く限定的な人間関係の中で繰り広げられる恋愛と苦難が、マイルドヤンキー層の生活とリンクしていたためウケたというのは事実でしょう。

余談ですが、モバゲーやグリーのアバターも同様に郊外のマイルドヤンキーが火付け役となったと言われています。前述の通り、マイルドヤンキーは交友関係が狭く、学生時代の友人関係が永劫に保存される世界なので、身内での「ウケ」が重要視されます。そんなコミュニケーションの中で自分のセンス(と経済力)をアピールできるアバターが重要なポジションを占めていたのですね。

そして2の浜崎あゆみ。ケータイ小説が流行する以前から北関東では浜崎あゆみのマーク(A)を貼る車がたくさん走っていました。つけてた本人が言うのだから間違いありません(ハズい)。
郊外での浜崎あゆみの支持率は本当に高いのです。記事での指摘どおり、彼女の歌の世界が身近に感じられるからゆえだと思います。なお、私は普通に曲(歌ではなく)が好きでファンでした。カラオケでも歌いませんでしたし(言い訳じゃないよ)。

最後に3。ケータイ小説は架空の日記という側面もありました。自分で考えたネタを実話風に書く事で、「もうひとりの自分の日記」にしていたのです。なのでケータイ小説は誰かに読んでもらうものであると同時に、自分の気持ちをはき出すためのツールでもあったのです。
その機能をまるまる奪ったのはTwitterであるのは間違いありません。
マイルドヤンキー層は人間関係が限定的という事は前述した通りです。彼らのTwitterも身内内のコンタクトツールであり、世界とつながるつもりもなければ、身内以外に読んで貰うつもりもありません。時折イキッたマイルドヤンキーの悪ふざけツイートがめざといプロアカウントに捕捉されて炎上するのは、そんなTwitterに対する認識の違いが下地としてあります。

とまぁ、こんなカンジでTwitterに露出日記としての機能を奪われたケータイ小説。
記事では急速に廃れたと言ってますが、当時最大のケータイ小説サイトであった「魔法のiランド」はまだまだ元気ですし、人気作は書籍化も行われています。以前の盛り上がり方が異常だっただけで、落ち着くべきところに落ち着いたと言った方が正しいです。

ところで最近、私はカクヨムで「竜殺しの独女とニセモノのムスメ」という小説を書いていたり、自主企画をもろもろ立ち上げたりしています。
自主企画で応募してもらった作品はなるべく目を通すようにしているのですが、女性作家の作品は比較的ケータイ小説に近い作品が多いです。

「小説家になろう」もそうですが、これら小説投稿サイトでは「なろう系」「異世界転移(転生)系」が多いような印象がありますが、メインストリームの外ではケータイ小説のような作品もなくはないのです(なろうの方ではあまり見かけませんけど)。

ただし、小説家になろうもカクヨムも、田舎のマイルドヤンキーが寄りつくサイトではありません。では誰向けに書いているのかというと、ちゃんと小説を読んでくれる人たちにでしょう。

記事にもあるように、ケータイ小説の日記的要素はSNSが吸収しています。ケータイ小説という「日記」を書く必要はなくなりました。
結果、ケータイ小説も普通の小説に近い立ち位置にスライドし、カタチを変えてその命脈を現在に伝えているといえるのではないでしょうか。

かつてのようにブレイクはありませんが、廃れているというほど見向きもされない存在になっているわけではないのです。
もっとも、普通の小説のようになったケータイ小説は、果たしてケータイ小説と呼んでいいのか、そこはまた意見が分かれるところでしょうが。

(文/赤蟹)


団長

「てらどらいぶ」管理人。 ゲーム開発のディレクター、動画配信サイト管理人のプロデューサーなどを歴任。 心のゲームは「ウィザードリィ」と「ザナドゥ」。ドラクエとFFならドラクエ派。

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