ニューノーマルに生き残れない、テレワークに向かない経営者

ニューノーマルという言葉が生まれ、コロナ影響下で私たちの生活が大きく変わろうとしています。

生活が変われば働き方も変わるわけで、特に三密や通勤中の罹患を防ぐため、国や都がテレワークを推進しているのは周知の通りです。

とはいえ、これまでにない働き方を押しつけられて、経営者も従業員も戸惑っている面もあるでしょう。特にテレワークが導入しづらい、現場系の仕事や営業が必要な会社はどうすればいいのか、経営者同士の会話の中でもよくあがります。

そんな中で、私の友人が勤めるある会社のテレワークのやり方が、テレワークの悪いところを全て煮詰めたようなカンジとなり、結果として社員が次々と辞めてしまったという話なのでご紹介します。


その会社はIT系なのですが、社長は技術者ではなく営業畑の出身で、昔ながらの根性論の持ち主。従業員の評価にしても、会社にいる時間=仕事をしている時間という価値観の持ち主であり、サービス残業も当たり前という感覚の人間だそうで、例えば早く社員が帰ると「20時くらいに帰るって、仕事やる気なんじゃないの」「給料分ちゃんと働いてるの?」と社内で言っちゃうような人だそうです。

悪い意味で、どこにでもいがちな中小企業の社長という感じでしょうか。

このような感覚なのでテレワークについても否定的で、家で仕事させたら社員がサボるという懐疑的な態度を見せ続けていたようですが、緊急事態宣言を受けて渋々というカタチで渋々スタート。

しかし、そのような下調べもせず、しぶしぶ始めたテレワークがうまくいくはずもありません。

毎朝のWebカメラを使った対面型朝礼は社長の独演会と化し、各プロジェクトの進捗状況が共有される場ではなくなってしまい、仕事が始まってみれば、チャットの友好的な使い方が分からない社長からの長文チャットメッセージが飛んでくるという始末。

そして定期的にチームチャットに送られてくる、社長からの「みんな、本当に仕事しているの?」というメッセージ。

このような、仕事への姿勢を毎度疑われる社員のモチベーションは当然ながら駄々下がりとなり、コミュニケーションの齟齬もあって、非常にストレスの高い状態になっていたそうです。

確かにテレワークは、各人の顔が見えません。作業している様子も内容も把握しづらいでしょう。だからこそ、いつもとは違ったコミュニケーションが必要です。

しかし社長や上司が、「部下が俺に合わせるべき」という感覚が抜けきれず、懐疑的で高圧的な態度をとり続けていれば、部下の士気が下がるのは明白です。

まして、テキストでのコミュニケーションはソリッドになりすぎて誤解を生む事も多々あります。そのような中で長文のチャットメッセージによる指示などはナンセンスといえるでしょう。

テレワークでは、経営者や上司が、いかにテレワーク環境下で有効なチーム運営ができるか、的確な指示を出して、ネットワーク上でのコミュニケーションを迅速に行うかがキモになってきます。

例えば指示は、パワポなどで図説する簡単な指示書を作るなどしてもいいでしょう。そうすればメンバーの理解は容易となりますし、指示の齟齬も減らせます。
実際SlackにせよTeamsやZoomにせよ、画面や資料の共有は簡単にできますし、むしろこのような機能を使って、対面でのミーティング以上に効率よく情報共有ができることを目指してこの手のアプリは開発されています。

それらの機能を使わずして、メール文化丸出しのメッセージでの指示を送るのは、感覚が10年遅れてるといえるでしょう。

しかも長文メッセージに「了解しました」と返すと「本当に分かってるの?」「毎回同じ返事だね」とイヤミを言うそうで、自分では一切コミュニケーションに気を遣わないのに、部下には必要以上に対応を求める態度はさすがに大人としてどうかと思いますね。

「上司の俺がなぜそんなことを」と思っている人は、これからのニューノーマルな新しい働き方にはついていけないですね。事実この会社、テレワークが理由なのかは明確ではありませんが、社員も数人辞めたそうです。

テレワークでは顔が見えない分、人間性が露出します。テキストの書き方一つで印象が大きく変わってしまうのですから、上役とはいえ部下の印象は考慮して言葉を選ばないと、このような結果に終わってしまうということですね。

ちなみにこの社長、こんな昭和なスタイルなのでお年を召しているように思われますが、実はまだ40代とのことで、驚いてしまいました。
意識の革新性や適応力というものは年齢とは関係ないんですね。

自分も気をつけたいところです。

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